日本の店名全般 2
縁起物名
賀字と同じ意味合いで、めでたい席に登場するものですが、具体的に形があるもののことです。熊手とか、門松とか、招き猫、達磨とか。
扇屋、末広屋
祝儀の席に登場する扇、魔を払い福を呼び込む道具といわれます。身分が高い人が用いるもの。庶民は団扇。形から商売が末広がりに、栄えるように別称が末広と呼ばれていますが、こちらも多く付けられます。有名な料亭、王子の扇屋が江戸買物独案内に載っています。
末広は江戸末の鮨屋に多かったのですが、現在有名なのはステーキのスエヒロです。大阪から来たのですが、大阪には明治からの洋食屋、扇町のスエヒロがあるので、それと関係があるのでしょうか。
扇はセンとも読むので、金扇、扇芳亭、吉扇、希扇、有名な焼き鳥屋、門扇とか組合わせて、店名になっている例があります。
蓬莱屋
本来は中国の伝説の山、蓬莱山に由来します。そこには仙人が住むところで、ユートピアのような島です。その山を模して江戸時代に祝儀や祝い事にかざられていたのか日本の蓬莱。松竹梅や鶴亀の飾りがつけられています。鮨屋は宝来寿司があり、字を宝に莱を来るに変えています。有名なのはとんかつの蓬莱屋です。
達磨屋
こちらは禅の初祖、達磨大師の名前ですが、知られているのは起き上がり人形のダルマ。室町時代に色々な起き上がり子法師がつくられて、人気が出たのが達磨法師。七転八起の縁起物として全国で人気になり、歳暮、年始に売られるようになりました。やはり、鮨屋からつけられ、明治の和食の店名にも使われています。
入船屋・宝屋・帆掛屋
これらは初夢の宝船の絵から出たものと思います。正月に縁起の良い初夢を見るために、七福神と金銀の財宝が帆掛船に乗った絵を枕の下に置く風習があります。めでたいものとして、鮨屋で多くつけられます。
宝が一番多く、他の食べ物屋にも広がっています。入船、帆掛は鮨屋に多いです。入船はわかりにくかったのですが、HP で、帆掛船が船先が海から港へ入ってくる入船。幸運が海からやってくる海上異界の思想があると載っていました。
翁屋・高砂屋
こちらは正月や祝い事に演じられる能楽の祝言曲から来ています。
ひとつは三番叟。三人の演者の二番目の翁から取られています。
謡曲として古くからの曲目だそうで、歌舞伎の寿式三番叟は謡曲のこの翁と狂言の三番叟を組み合わせたもの。
江戸歌舞伎の顔見世興行など、重要な祝いの中で芝居繁盛を祈るそうです。
翁寿司、最初は蕎麦の名目だった翁蕎麦。
現在有名になったのは一茶庵で修行した高橋氏が江戸の下町の名店から名づけた翁。現在は東京から離れ、達磨と名乗っているとのこと。東京は弟子が引き継いでいるそう。
もうひとつの有名店は蕎麦料亭の恵比寿の翁。麻布の更科からでているとか。
落語で「高砂や、この浦船に帆を上げて・・・」に出てくるように有名な能だったようです。
徳川家が元の松平に関係するとして、正月に舞ったこともあり、夫婦の情愛、国の繁栄、人の長寿への喜びを表現しています。
民俗学の世界では翁は神や仏の化身とされています。
場所名
地名は固有名詞でこの国のこの場所と特定できます。それ以外に普通名詞で山、海、地から、建物の宮殿、小屋、中庭まで店の外側部分から付けられます。
自然造形物
海、山、空、大地、川など。ただ、小川さんからブルックス、森さんからボアと付けられたりする例もあり、名前の外国語へ言い換えも多い系列です。日本人の姓は自然からのものがほとんどですからね。
〇 月と日
初めは天地の天から見ていくと、日と月と星。日と月を並べると、月が伝統的に多い店名です。
江戸まで太陰暦で生活が成り立っていましたから、自然に月に対する興味が広がり、月には形、見え方により多数の呼び名があります。
それらに因った店名も多く、氷月、松月、春月、露月亭、雨月荘、夕月、明月庵等本当に多種多様。自然描写の湖月、清月堂。清月堂は銀座に現存する最古の和風喫茶店。銀座に流れる川に写った月を現したものとか。
古民家の和食屋、月の庭の名が知られると、後を追って月の蔵、月の宴、月の雫、月夜のうさきほか。
実際にながめる月よりもイメージの月が勝っているということです。
日はお天道様と呼称され、神様でしたので昭和になってからでしょうか。(明治期に別の意味で旭、朝日、日の出が出てきます。こちらは別項目で)喫茶店に外国語の店名で付けられ、ソレイユ、ソル、サン。
カフェマニアの本の中で「太陽」の店主が太陽はどんなことがあったも変わらないと答えているのですが、月と真逆に変化しないことが信頼感を集めています。
★ 星
星は字数か発音の弱さか、日本語の星そのものは少なくて、イタリア料理にステラート、ステッラ、ラ・ステラ位。
フランス語のエトワールは地名エトワール広場に寄るものでしょう。英語のスターも字数が少ないためかブルースターのように組合せがされています。
星そのものよりオリオン、カシオペア、北極星、ポールスター、南十字星、サウザンクロスほか具体的なものが多いです。明治大正、昭和初期まで船による外国旅行がおおかったので、その目印となるこれらに思いが募ったため気持ちからでしょう。
宇宙開発が盛んだった60年代からはコロナ、コスモス、コメータ(流星)天の川も出てきます。
国語大辞典では、農耕の星、"統べる星"から来たすばる星。すばるは食べ物屋以外にも時代を超えて、超人気で自動車名や歌の題名のせいでしょうか。
プラネット(惑星)も業種の広がりがある店名です。
▲ 地
地は海、山、川、丘、そして大地、当初は喫茶店を中心にこぞって付けられたのですが、現在は住居、マンション名、アパート名にその座を譲っている感じがします。ヒル、モンテ、ヒユッテ、コリーヌ、リバーサイド、コスタとか。
海だけは家が立てられないので、少ないです。
店名でも海、海亭、海の家などの店名もありますが、中心は材料が海の物、魚、貝類であるということを表現する類のものです。海鮮山鮮、海の幸、海蔵、海来、海生丸など。
同様なのは鮨屋の磯○○、浜寿司、港寿司です。イタリア料理も店名に材料に海鮮を使うため、マーレ、イル・マーレ・ブル、ベル・マーレ、モンテ・マーレ等、比較的多いです。
大地そのものは少ないですね、視線が下には向きにくい、心理的に下降指向は避けたいのでしょう。喫茶のロージナ(ロシアの大地をイメージ)、フランス料理のラ・テール(麻布台)。ケーキ店のラ・テールはエコ方面の名づけで材料にオーガニック系を使用しているメッセージのようです。
スローフードが広まれば増えることでしょう
。
森、山、川、林、谷は冒頭に書いたようにように氏名からのものが多いので名前系と区別がつきません。山は穂高とかアルプスとか固有名詞が多いです。
80年代から流行したダイニングが新しい世界を広げます。擬似世界を店の中に持ってきてしまう方法で砂漠楼、グロッタ(洞窟)、グランブルー(深海)、レインフォレスト(熱帯雨林)等。人間がめったに行かない世界の構築、非日常世界。
ただ、そこから創造での広がりを持たなかったため後続はほとんど店名としてはなかったようです。
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人口造形物
◆ 豪華版建物
最初は豪華な世界。ここでも、トップをはしるのはカフェ、喫茶店の分野です。もちろん、当初のカフェですから、女性目当ての店ですが、銀座パレス、美人会館、淑女パレス他。喫茶店では古城、パレス、マンションハウス、シャトー他。
銀座のレトロな雰囲気で有名なニューキャッスルの主人のように自らの城を築く想いで名づけたという姿勢が豪華店名にはあるのでしょうね。チェーン店でも、館をつけて珈琲館、珈琲茶館があります。
昭和初期の洋食屋にもキャッスル、グリル・シャトー、ル・パレが見えます。そして、フランス料理店。何よりもハレの日の店ですから、豪華版の山。
荒田勇作さんがシェフをしていたレストランキャッスル(霞ヶ関) をはじめ、パラッツオ(日本橋)、ル・シャレ(赤坂)、オランジェリー(青山)、ディノは名前ですけどマノワール・ディノ(青山)というのもあります。
スペイン系でもアルカサール(城)があります。こちらも上記の自然造形物の同様に住の世界に名前を譲りつつあります。
イタリア料理店は庶民から成り上がった(?)ので多くはないですが、ラ・パラッツィーナ(経堂)があります。
■ 庶民版建物
反対に庶民の建造物。これは種類がなく、自分のうちのよう寛いでほしいとの気持ちを込めて、フランス料理の「シェ・モア 銀座 1978年開店」、シェ・リュイ、モン・フィナージュ、コム・シェ・ヴ、COMME A LA MAISON(コム・ア・ラ・メゾン)、イタリア料理のミオ・ボスト、DA NOI(ダノイ わが家へ)。
仏語私の家の「まめぞん 恵比寿 2007年」緊張を強いられるフランス料理ではなくイタリアン。特別な日や友人との充実した時間のためのあなたの中の一軒になりたい想いのとか。
マ・メゾンは洋風居酒屋のチェーン店もあります。1970年開店の現在は大庄経営のマ・メゾンと1981年名古屋発のマ・メゾンです。
家の外国語の言いかえではスペイン語の、「喫茶店香咲 神宮前 1984年開店」、メキシコ料理のラ・カシータもあります。庶民的家のアラカルトとして、喫茶店では山小屋、ロッジ、プアハウスがありました。
江戸の昔のものも時々出できます。山の茶屋、茶家、本陣房(蕎麦)、味館。
ダイニングでは旅篭。蕎麦屋中心に使われていた庵も単独で最近では「いおり」「草庵」として現れます。本来は隠者の慎ましい住居のことですが、茶道の世界で有名な茶室が○○庵として存在するため、文化価値から付けられています。ローマ字で「An」と表記する新しいものもありますね。
■ 街の中
街や村の場所もその国の雰囲気を感じさせるように付けられます。パリの雰囲気でリュー・ド・パリ、プロムナード(フランス料理)、パリの朝市、プティ・マルシェ、ル・パサージュ。アルボンテ(イタリア料理)、めるかーと。
2000年の後半になると、フランス料理も街場の食堂の位置を占めるため、レストランテ・コット(小屋)、ラ・キャンタン(工場や学校の食堂)など庶民的な店名で頑張っています。
アメリカ系のものは直接的、ストレートにテラス・オンザベイ、リバーサイド、フィッシュマーケット、パークサイド、ファーム・グリル、ファクトリーとかとてもわかりやすい店名が多いです。
ダイニングで「川のほとりで」という店名はもろにリバーサイドの直訳ですね。魚河岸、やっちゃばというの店名は場所よりもそれを売っているいる材料に重きがあるように感じます。
● 見えない場所
街の中の場所だけでなく、田舎は田舎そのものが付けられています。。
1880年代の食べ物案内には両国田舎が乗っていますが、1956年に新潟の田舎家が開業し、その東京出店以後はこの種の地方店を増やして生きます。
都会への集団就職により利用者も増えていくことになります。類語の故郷の店名も古里、ふる里として出てきました。。
仏語ではビストロ・カンパーニュ、伊語カンパーニャがあります。
90年代後半の流行は隠れ家です。ラ・エスコンディータ、アン・カシェット、メゾンカシュカシュ、居酒屋の隠れ家、変化型で隠居邸、隠れ野、隠れ房とかあります。
携帯つきでどこでも仕事が付いてくる時代。店名だけでも、俗社会から離れましょう、隠れましょうでしょうか。。
昔から変わらずあるのが角屋です。もちろん中央亭、中屋(英語センター、仏語ミリュー、伊語チェントロ)がありますが多いのはこれです。
「中央亭 丸の内 1905年」は東京駅近く、日本の中央にあるという意味でつけられ、1933年明治屋の京橋ビルにあり、後に「京橋モルチェ」になりました。
角屋や中屋は元は通称、江戸時代から村の中で呼ばれた家号のひとつです。自然発生的なもので実際の店の名は別にあったのでしょう。。
ブログに載っていた神保町クッチーナイタリアーナアンゴロ(元キッチンカド、イタリア語でカドはアンゴロ)。
フランス語はコアン、ボン・コアン、ル・コアンがあります。
カドはそこで一度止まり、左右、前後に進むかどうか一息あって、また進み始める場所。
食べ物屋の店としては角にあるなしに関わらず、魅力的な店名です。
★ 心のなかのもの
あるようでないようで、ある場所の店名もあります。代表的なのが極楽、天国、パラダイスです。
さすがに極楽は無宗教のわが国とはいえ仏教が葬祭では多いので、少ないと思います。
天国は店名の第2段階にはいっていて、際限なく楽しむ食べ物屋の場所の意味を含めて、モツ天国、餃子天国、いか天国、珈琲天国という使い方がされています。
ビフェの店で大阪からやって来たスイーツパラダイスとかベジパラダイス(野菜)、セルフグリルパラダイスとか同様の意味で使われています。
仏語(パラディ)、伊語(パラディーゾ)を含めてもパラダイスは意外と少なく、同種のエデンの店名が70年代に喫茶店中心にありましたが、現在は風俗系に移っているようです。
女性がお客の中心になるくらいの店があり、彼女たちの嗜好を無視できない現在は減っていく傾向にあるようです。。
大衆食堂の元祖、神田須田町食堂(1924年開店 2006年秋葉原に復活)を前身とする現在名聚楽グループ(1934年株式会社聚楽へ)が有名ですが、別の同名店のホームページを見ると聚楽は楽しく集う場所の意味があってこちらがメインとの記事がありました。
じゅらく、寿楽、樹楽の字変えの店も見受けますし、他業種にも広がっている店名になっています。
ビウラ(安息の場所の意味)、オアシスほか同種の意味のある場所名も使われています。
高い場所ーラウンドマーク (追加2017.02.12)
スカイツリーができたころ流行ースカイツリーを見上げてでとりあげたように、この塔が見えることで「タワーズ 六本木 2010年」「タワーズ 赤羽 2014年」の店名が付いたことをアップしました。
本来は高いビルは見上げる存在として、人が集まる場所、横浜のラウンドマークタワービルのようなコンセプトでした。
この項目は『コラム』目印・目立つものでアップするつもりが、東京にはタワーとつくビルが競うようにたんさんありますので、目印にはならないと知りました。
消滅していく都会のしるし、でも高層マンションも増え続けるなか、どうなっていくのでしょう。
かつて西洋の王侯貴族、日本では地方の藩主たちが城に住むところではない天守閣を築城し、民にご威光を見せつけていました。
西洋の塔とは異なり、街中では塔はどちらかというと、お寺の三重塔・五重塔としてあり、寺の一部分でしかありませんでした。
屋を楼に変更していったお店が多数ありました。なぜか京都は少なかったとのこと。
『江戸買物独案内』には「金波楼 浅草今戸町」、「酔月楼 木挽町」、明治以降は和食、洋食問わず多用されていました。
現在はほとんど中華店の尻尾専用です。写真は「松本楼 日比谷公園 1903年」
梅本庄吉の父親が信州松本出身、同郷の店を継いだ後、銀座に1872年創業、日比谷公園の入札で日比谷に建てられた当時3階建ての楼にふさわしいレストラン。楼閣の閣も楼と同様に2階以上の重層的な建物を言いますが、こちらはあまり人気がありません。
有名な京都の金閣、銀閣に、大阪の展望台、通天閣にも使われていますが、楼に比べ少し偉そうな堅い大仰なイメージがあるのかも。旅館・式場に多いのですが・・・。
東京では現在は楼と同じで、ほとんど食べ物屋では中華屋、全国では焼肉屋に付くことが多いようです。
戦後高いビルが建設されると、最初の頃は上階にホテルのスカイレストラン、スカイラウンジ、古くは「銀座スカイラウンジ 有楽町 1965年」が交通会館15階にあります。
スカイは今も人気があり、スカイルーム、スカイダイニングなど新しいタイプ、交通会館も13階に「銀座スカイビアテラス 2015年」。リニューアルしたホテルニューオータニ「ザ・スカイ(THE Sky) 赤坂 2007年」銀座三井ガーデンホテル13階「スカイ(Sky) 2005年 銀座」
スカイと同じようにレインボー、オーロラも高い場所の名前の店名が70年代まではあり、帝国ホテルのビュッフェ「レインボーラウンジ 1958年 日比谷既に改名」、名前を残しているのは「世界貿易センタービルの「レインボー 浜松町 1970年」はまだあります。
ほかにこちらも閉店していますが「レインボー 東陽町 1978年」
オーロラは京王プラザホテル「オーロララウンジ 西新宿 1971年」が開館当初から頑張っていましたが、今年リニューアル「スカイラウンジオーロラ 2016年」に改名
摩天楼からの地名でイメージする「マンハッタンテーブル 新宿」「ニューヨークグリル 新宿 1994年」イタリアンで安売りドンキホーテ8階の摩天楼の意味の「グラッドシエル 湯島 2005年」空中庭園のイメージのテラス席が半数を占めています。
90年代になると日本語の空「ソラシオ(sorasio) 汐留 2002年」「空町 新宿三丁目」「空庭 西新宿」「天の〇〇」「天空の○○」などはもう高い所にある指示形容詞ですね。
天空のカフェと名付けられた「アストラル ランプ(astral lamp) 渋谷 2006年」も最上階にあるので天空のランプと訳されています。
高層からの眺めを店名にする例も。「スターライトラウンジ 赤坂(ホテルオークラ) 1963年既に閉店」「アストラル 赤坂 1986年 既に閉店」「スターライト 台場 1998年」
アストラルは星のように、星の世界の意味の英語、「星遊山(セイユウザン) 汐留」としたのは天空焼肉と銘打った汐留シティセンター41階にあります。他に野村ビル50階「星空の中へ 西新宿 2009」
「アジュールフォーティファイブ 六本木 2007年」45階から見るスカイラインと東京湾の景色をアジュール、青で表現しているとHPにありました。
「ケシキ(KESIKI) 日本橋」マンダリンオリエンタルホテル最上階からみる東京の絶景が自慢です。
古めのレストランでは「ベルビュー 赤坂 1963年、1997年の復活したが現在は「ベッラヴィスタ」に。
中華の「大観苑 赤坂(ホテルニューオータニ16階) 既に閉店」は花に囲まれた風光明媚のところの意味。
ただ、高層マンションに住む人々が増え、見上げるものの特別感が薄れています。1980年代のテクノロジーの進歩で高速エレベーターが気軽に使える環境の変化もあります。
最上階はホテルのメインダイニング、バーが設置されることが多いのは変わりません。
「ラウンジ21 新橋(第一ホテル21階)」「トゥエンティエイト 汐留(コンラッド東京28階) 2005年」「オン サーティ エイス 日本橋 2015年開店」はマンダリンホテル38階のピッツァバーです。
ホテル以外では「フォーティ(40)カフェ 六本木 2004年」「ザ・サーティスダイニングバー 二子玉川 2015年」「ザフィフスフロアーバイマサウエキ 銀座 2013年」「レストラン121ダイニング 中野(なぜか中野サンプラザ20階)」
写真は高層は写真が難しいので「アパルトマン301 銀座 2013年」を参考に。古アパートのリノベーションカフェです。
単純に高いこと、場所の意味のトップ、上の方、山頂、今は人関連になって少ないです。
もちろんホテルの「トップオブアカサカ 1983年」「トップオブザタワー 赤坂 1964年」「ピークラウンジ 新宿 1994年」のように実際に高い所にある物もありますが、見上げて目指す目標にする店名も多く存在。
見上げる場所の店名は山や「丘」、丘の上の英語「ヒルトップ」
アメリカに接収されていた時、「ヒルトップ」の愛称で呼ばれていた「山の上ホテル 1954年」カフェは「ヒルトップ」です。
所有者はあえてホテル名は「山の上ホテル」こだわったようです。丘より山の方が高いから?でしょうか。
トップの有名処はざくろグループの「トップス(Top's) 赤坂 1964年」。イタリアン「グラナダ」で有名な落合シェフが働いていたレストランのグループ。
最初アメリカ料理の店、ケーキが有名になり、同じ経営の欧風カレーの「サクソン」と合併。「トップス&サクサン」となり、また、サクソンの名が消えて、現在の店名は「トップス」のみになっています。
『ウイキペディア』では「トップス」と同一視されている「レストラントップ(最初の店名はミニトップ) 自由が丘 1963年版のガイド本に掲載、既に閉店」。
かつて自由が丘の野村証券自由が丘店の左隣の洋風の建物のフランス料理店。こちらもオムレツケーキが人気となり、あちらこちらに出店していました。90年代には南口のガード下にテイクアウトの洋風惣菜店をオープンしていましたが、いまはありません。
本来は『コラムー犬』の項目に載せた方が良いかと思う「トップドック 自由が丘 1980-2002年、都立大学で2008年復活」。
渋谷店もありアメリカンダイナーとして当時のアメリカンカジュアル好きの若者に人気でした。意味を調べると負け犬under dogの反対の意味で、勝ち犬、人生の勝者。
日本語で同じ意味で以前取り上げた「てっぺん 中目黒 2006年」があります。
タワーマンションが高級邸宅のイメージとなりその屋上に近ければ近いほど、高級邸宅とされます。
最上階のペントハウスという店名もではじめています。実際には屋上階にない店もあるようですね。
反対に高さを強調しない「レストランアール(R) 恵比寿 2002-2006年」も。意味は屋上RF階からですが・・・。
Rに食材の名前が付いた「アールシュリンプ(R-SHRIMP) 西新宿 2016年」、食べログ冒頭文に最上階の海老天国へとあります。
おもいっきりの直球店名「神楽坂屋上ナベガーデン 神楽坂 2016年」も食べログに載っています。地名も料理名も屋上階にあることも入っています。
新しいレストランでジャンルがイノベーティブ・フュージョンレストラン「チェナクレーム 銀座 2015年」。
ビルの最上階10階にある、由来はラテン語、ラテン語由来の各国により意味はいろいろあるそうです。屋根裏、ペントハウス、高層・上方、デイナーレストラン。
オーナーがソムリエなので飲み物のペアリング(酒に料理を合わせる)が売りだそうです。
低い場所ー地下 (追加2017.04.15)
ついでに反対の場所低い所について、地下以下にあるレストラン。店名はこちらはとても少ない。
地下街にある食べ物屋も多い時代ですが、どちらかというと、借地料が高いためか、チェーン店がとても多いです。
名前の知れたこれらは、特に主張しなくても、適度にお客が入ります。
高い場所、神の国、天とは反対で、神話の世界では地下はあの世、地獄、黄泉の国、死者の国で、洞窟はその入口になっています。
しかし、神々の誕生の場であることから祭場であり、敵から身を隠せる隠れ場、隠者の住居ね修行の場でもありました。
別称で穴、岩屋、土室、洞があります。
洞、穴、酒蔵のセラー、ケイブ、カーブ等がありますが、地下にある店とはなっていません。2階、3階以上に構えていたりします。
尻尾に付く洞、堂より狭く、入りにくく、でも入れば楽園が向うにみえるようなイメージ。
渋谷の「三漁洞 渋谷 1967年」雑誌には2代目の店主が石橋エーターロー氏ですので、以前よく載っていました。海釣り、川釣り、岡釣りの三つの釣りと地下にあるので洞窟の洞から。一代目が大の釣り好きで自分の釣った魚をふるまったのがお店の始まり(HPから)
「ほんやら洞 国分寺 1973年」は京都の「ほんやら洞 1972-2015年」の立ち上げにかかわった方々がオープンしたカフェ
店名はつげ義春氏の短編漫画の題名を取っています。大元は雪国の祭に造られる雪穴(カマクラ)の呼び名。
入口から雰囲気があり、コーンクリートの壁にに空いた穴のような印象です
いまもある「ワインバー繭 代々木公園 1999年」「梟門(キュウモン) 新宿 1990年既に閉店、2015年スペイス梟門というフリースペースに」「カヴェルナ(ポルトガル語の洞窟) 池袋 1994年頃」など。
吉祥寺のラーメン店はその店の形状が細長いことから看板に洞窟を描いた「洞くつ家 吉祥寺 2003年」
麵屋武蔵系列、宮本武蔵が五輪書を表した熊本の霊厳洞からのイメージ「虎洞 2005年」があります。
韓国料理、焼肉に洞、明洞(ミョンドン)が多いのは韓国の繁華街の地名から。東京の銀座と同じような地名とか。
酒類の貯蔵庫セラー、カーブ(キャーブ)、ケイブは扱う酒店も意味していて、兼ねたレストランにつくことが多いです。
今は多くありませんが、英語のセラー、「ホワイトホースセラー 四谷 1959年」「ザセラーNo.5 新宿」「ワインケラーサワ(ドイツワイン専門なのでドイツ語) 銀座 1976-2005年」
本店よりカジュアル系のカーブ付店名は「葡萄酒ぐらモンカーブ 御茶ノ水 1980年」最初は山の上ホテルの会員制ワインバー「モンカーブ 1954年」から、モンは山、山の上ホテルの貯蔵庫でしょうか。
「オー・ギャマンドトキオ」の系列支店「カーブデギャマンエハナレ 白金 2011年」平松グループ「ラレゼルヴ 広尾 2002年既に改名」「ラ・カーブド・イデアル 神楽坂 2001年」「カーブドコンマ 神楽坂 2012年」
穴も居酒屋の店名の尻尾に付く、またアニメの影響の「虎の穴」、以前書きました「壁の穴 1953年」はシェイクスピアの戯曲が由来。穴を店名に使った最初の頃の例。 ★TOP頁へ★
インテリアほか
建物に付随するものと中から採った店名です。比較的最近の新しい店名で、外国をイメージさせるために利用されます。店名ではなく食べ物屋の業態として当初から使用されて入ましたので、言葉としては一般に馴染みのあるものです。
◆ 家マワリ
最初はホテルで使用されてからでしょうか、テラスガーデン、ガーデンカフェ、テラスカフェは店名というよりは大きな庭に面している場所にある位の意味ですね。業態で明治初めにビアホールが横浜に、明治中頃には恵比寿ビールが新橋に開店します。ホールは広間の意味です。
1901年にはミルクホールなるものも開店しています。ちなみにホールは現在では既に食べ物屋ではなく(パチンコ屋?多い)、同様にサロン(客間)も美容室等の業種へいってしまっています。
ビアホールが戦後になるとビアガーデンとなります。屋上や庭に面した場所に夏になると臨時に開店することが多く、開放的な空間であること、庭に面していることを現す便利な言葉が、ガーデンだったようです。庭の別の言葉、園は70年代のタウンページに20軒以上あります。
園は建物に付設する庭のことで、御園は神社や皇室関連のもののようです。神戸発の1945年開店のステーキ店の御園は地名でしょうか。その他美園、美苑、味園が数店あります。焼肉屋さんは○○園、○○苑が多いです。
80年代から90年代にイギリスのガーデニングが流行し、女性の園芸家も多数現れ、図書が膨大な量、出版されました。本来は単語利用されない(日本国語大辞典)とされていたガーデンが店名として注目されてきたようです。
70年代のタウンページに載っている喫茶店、ガーデンも近くに公園があるようです。イタリア料理店のイタリアンガーデンは広さと開放性を感じさせるレストランの意味合いのようです。
現在ののファミレス、J'sガーデンとかマイアミガーデン(伊料理、元喫茶マイアミ)同様の意味があります。
テラスはカフェテラスとしては昭和初期紀に銀座にオープンしたコロンバンがあり、パリをあこがれた人々がその雰囲気を外にテーブルが味わっていました。昭和後半でも業態として歌謡曲にも出でくるちょっと上品な喫茶店として続いています。
90年代から、ガーデンと同じ使い方で、ガーデンテラス、テラスガーデン、○○テラスとして気持ちの良い外部からの風を感じさせる雰囲気を出すため使われています。
テラスやガーデンは洋物専用となっていますが、蔵は和物がメインです。蔵はものの収納場所、大昔は家の外にあり穀物倉、武器庫なりいろいろあり、現在は家の中。納戸、床下収納庫。当初は外側に別棟としてありましたので家のまわりの場所として考えます。
中華系の門や珈琲屋に使われる館よりはチョット地味ですが、居酒屋に現在大流行中です。
最初、雑誌で有名になった「蔵」は目白の和食店でした。1970年開店ですが、名前からのようです。インダストリアデザイナーの水野蔵左衛門さんが店主。
蔵は男性の名前の末尾に使われる郎とか介と同様に使われて、店名もこのタイプも多数あります。蔵や××蔵が増えたのは酒蔵からでしょう。
その後人気がおちるどころか、質屋の蔵を改造した蔵や(神保町)、喫茶蔵(北千住)のようなリノベーション系、蔵を模した店もできて、さらに増強されています。
酒がなくならない限りは取り入れられていく店名です。
◇ 家ノナカ
1980年代、カフェブームが起こり、多種多様なカフェが開店し、もちろんフランス直輸入にようなカフェ・デ・ロペとか、カフエ・デ・プレ、ドュ・マゴも出てきました。
もうひとつの形がリノベーション。古いビルや民家を再生してカフエを作る方向。まるで知り合いの家に来たような雰囲気のユーズド家具の配置がされています。
部屋そのものとして、ルームス、room、サンルーム、書斎館、ラウンジ、芸術系のアトリエ、ステュデオ、ギヤラリーは昨今の流行でフランス料理屋に見られます。
ガーデン、テラスとは反対に閉じられた空間の中での安らぎを提供する店名です。その意味をこめて、agito(アヂト)、torchcafe(トーチカフエ、恵比寿)、attic room(渋谷、屋根裏部屋のこと)があります。
現在街に食べ物屋の店名として溢れているのがキッチンとダイニング(本当はダイニングルーム)、台所と食堂。料理を作る場所と食べる場所。こちらの二つは既に店名ではなく、業態をあらわす言葉です。
当初は洋食の定番が現在はアジアンキッチンとか全種に拡大しています。
英語が圧倒的な多いのですが、仏語キュイジーヌ、伊語クチーナ。イタリア料理は大森のクチーナ、クチーナ・ヒラタ(麻布十番)が始まり。
日本語の台所、厨房、厨ほか業種としも店名としても多く使われます。もう観光地しかありそうにもない囲炉裏、囲炉裏の周り、囲炉裏端は炉端焼きとして完全に料理の一スタイルになっている料理する場所名もあります。
ダイニングはカフェのコーナーでも書きましたが、カフェバーからカフェレストランからレストランバーから変化して、現在は居酒屋の業態に落ち着いています。
出される料理で和ダイニング、海鮮ダイニング、炭焼きダイニング、イタリアンダイニング等、店名の前に着く業態名になっています。
料理名、食材名、料理法ほかと組合わせて使われています。地名や個人名もダイニングとともに使われることも多くなってきたので、どうやらレストランからダイニングへ食べ物屋の業態名は変わってしまったようです。
本来はホテルの食堂がダイニングルームと呼ばれ、食堂より上等な食事場所でした。ホテルは和食や洋食、カフェレストラン、バーを別々に部屋を用意しているのが普通でした。
キッチンと違い、仏語サラマンジェ(食堂)を含めて英語以外は少ない状態で、ダイニングひとり勝ちです。HPでダイニングで見ていくと、何の食べもの屋なのか、わからないものが多く、やたらに形容詞が多いのもこのダイニング系の特徴です。
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