日本人は何を求めどこへ? 2
ブランド名~皆が知っている!?
ブランドと言えば、鞄や洋服が有名です。食べ物屋にもシャネルやグッチがひそかにあります。
商標権の侵害に当たるので現代では表立った活躍は無理です。漢字に書き換え使われています。
古めの世界
老舗、ブランドの成立には時間が必要です。ふるくからは地名、日本人は名物、名勝が大好きです。自分のところにも同じものをということで、○○富士、△△銀座が全国に散らばっています。
富士は当然おおいのですが、料理の世界の人気ブランドは「京」です。別称「都」、古都、花洛。都の店名は江戸末期から鮨屋として案内に、番付に載っています。
幕末に京都に注目され、憧れを含めて付けられたのでしょう。上方の製品は下がり物としてありがたがられていましたから。
戦後になっても、京も京料理が日本料理の大本として、修行先であり、本店から支店が東京にあったり、京料理のすばらしさが認識されればされるほど、京の文字も力が増してきます。
新橋の「京の里」、銀座の「「京ふじ」のような京そのものだけでなく、銀座だけでも貴舟、左京ひがしやま、嵯峨野、祇をん等の京の地名も多くあります。
また、京言葉の「はんなり」「ほっこり」も擬音系のはやりで店名になっています。
京の古さ、雅も魅力ですが、近頃は出身、所在に関係なく博多、神戸、鎌倉、浅草の店名も出てきています。
たこ焼きの「銀たこ」のようにいつか銀座に店を出したいという目指す先の銀座を組み込んだのではではなく、その地名が持つ異国のハイカラさ、上品さ、庶民的などのイメージだけ借りる店名です
新しい世界 ⓢー(追加2017.10.20)
新しい世界はマスコミの力、雑誌、映画、テレビの力が加わります。
以前、原宿にあった「ティファニー」。ニューヨークの宝飾店ですが、日本で知られてるのは映画。オードリー・ヘップバーン主演「ティファニーで朝食を」が有名で、日本中にはまだ同名の食べ物屋さんが結構あります。
フランス料理屋の戦後初期のの数少ない個人店、水口多喜夫さんの「ピアジェ 東麻布 既に閉店」は親会社がこのスイスのブランドを扱う総代理店であり、このブランドのように世界に信頼されるようなりたいということでこの店名。今銀座にこの時計店があります。
政治的に戦後「マッカーサーの発言?」から「日本は東洋のスイスたれ」という方針で意識していて、教科書にも載っていたことが大きいですね。
外国旅行先としてのアルプス、モンブラン、アルル、マッターホルン。スイスの国花のエーデルワイスなど。どれも店名によく出てきます。「ピアジェ」のブランドの信頼感を大切にしたいという思いで付けた理由と同じようのスイスに対して大きな信頼を寄せているのですね。日本人は特に。写真の洋食「グリル銀座スイス 銀座 1947年」はその頃の外国の地の店名の流行でスイスが平和の象徴、美しい国のイメージで命名。
スイスの国旗の赤地に描かれた「白十字」。喫茶店が今も東京に残っていますが、ホームページで出てくる岡山県のケーキメーカーの創業が1957年。
昭和の初めのガイドには白十字総本店(本郷)含め数店が載っていますので、このケーキメーカーからの店名ではないようです。調べてもいまだわかりません。
★白十字★
『日本洋菓子史』のなかに「白十字 神田三崎町 1921年」」の記事がありました。田口善一氏が創業したケーキ店はその後、1923年に本郷、洋菓子喫茶部を牛込神楽坂に1924年、1925年、四谷塩町、日本橋、小石川、銀座二丁目。コンフェクショナリーを浅草、日比谷、新宿と拡大しました。新宿店は喫茶とレストラン兼ねる店。全盛を昭和5,6年から昭和10年(1935年)頃となっていました。
残念ながら、店名の由来は書かれていませんので、不明。現在の各店舗との関係もわかりません。
(2015.2.28)
フランス料理店「シェ・フィガロ 西麻布 1969年開店」は最初のものは閉店していますが、フランスの有名新聞名(+モーツァルトの歌劇からも)から録ったものでして、今はカフェとして、営業中。全国では、イタリアンの店があり、人気はあります。
人は・・・
人関連では皇室が最大のブランドです。ロイヤル、ローヤル、みかどもありますが、最大のブランドは菊です。
菊は江戸18世紀には店名に使われています。後、皇室の紋章となりますが、イギリスのパブの「キングス・アームス(王家の紋章の意味)」の直接的な使用が見えざる圧力がはたらいて、鮨屋のように喜久鮨のような字替え店名が多いです。
ちょっと違うかなと考えますが、市川家の得意演目からでた18番、オハコも結構存在します。荻窪の1966年創業の「18番」が有名なため、中華店が多いですが、カフェ、居酒屋もあります。 ★TOP頁へ★(ブランド名) ☆ラッキーアイテム ☆ほめ言葉の世界、好き好き、さまざま ☆リアルにタベル ☆ガツガツ!2 ☆職人魂
ラッキーアイテム~幸せはどこから
・追加2021年10月16日
正月に売られている熊手とか招き猫、大阪の料亭「吉兆」の店名の出自、吉兆笹がこれにあたります。西洋ではこれもダイニング系の店名になっている青色を付ける(店名アッデインクブルー)とか、豚のお守りとか。
日本製
日本の店全般の中で扇、末広の項目を設けてありますが、その関連から数字の八の字が末広がりとしてラッキーアイテムとして扱われ、店名に組み合わされます。NHKの世論調査では人気のランキングで七に負け始めていますが・・・。
国民の人気は落ち目とはいえ、店名では使えそうで、まだまだ現役としてがんばりそうですね。2011年でも8(エイト)、新御徒町のイタリアン、八、代々木八幡のカフェがオープンしています。
同様で似ている「お多幸(創業者の名大田こうから、お客の幸せを願い多幸の字を当てる。大阪大多福の分店でもあった2017.10.25追加) 銀座 1924年」、美奈福のおでん屋さんにも多少影響しいいるかも。
最近ではここから派生した招福、笑う門に福来るから、笑福、福笑いの店名も出ています。笑うが賀字となり、笑笑のようなチェーン店、笑麺亭、笑楽なんてのも。
同じような笑の仲間、1970年代の流行、ニコニコマーク。愛と平和を訴える笑顔のメッセージマーク。英語でスマイル、ここからヒントを得たのか、スマイル、ニコニコの店名も多いです。
しかし、店名の込められた意味はひと(「客」)に笑顔を贈ること、福を呼び込むとは変わっています。
占いの気学の世界では昔からラッキーなのは辰巳の方向とされています。巽、たつみ、辰味、浅草のとんかつや「多津美」は字替えでしょうか。江戸時代、深川地名、辰巳から発している店名も混じっている場合もありますが・・・。
同じく、十二支は占いというよりは守護神ですかね、食べ物関連の牛、鶏、馬を除くと単品で多いのはウサギ。
童話、童謡に良く出てきますので、ねずみや蛇よりマイナス面が少ないこともあり、ペットとしも見かけます。
虎は和菓子屋の虎屋が強すぎるためか、トラそのものでは少なく、漢字この当て字には使われています。和食の虎白、虎夢。トラと呼んで丹虎、炭寅(ともにタントラと読む)、支那寅など。
経営者が虎を好んで際コーポレーションの豆寅、寅萬元、麺屋武蔵の厳虎、虎洞、鷹虎もありますが・・・。
いろいろな情報が瞬時にいきわたる今はラッキーアイテムも種々さまざま。風水もパワースポットもあっというまに消費され、忘れ去られ、意味を失います。
奈良の延喜式の考え方で、祥瑞を大中小に区分けして決めて項があります。現在はその大項目の吉祥の字、そのものを店名に当てる店が出できています。瑞祥、瑞兆。嘉瑞、福兆など
外国製
普及しているのは7、ラッキーセブン。アメリカの野球が7回で逆転勝ちが続いて定着したとのこと。上で書いたようにラッキー数値として8より7の方が人気を上げています。パチンコゲームやタバコの銘柄も力を貸していますね。
日本人のお守りは一年限りのもので、長く所持することはありませんが、西洋は宝石がお守りで、パワーストーンが近頃あちらこちらにお店も開店して、人気です。
パワーストーンは宝石より安く、貴石と呼ばれる水晶、アメジスト、琥珀、翡翠などがありますけど、店名としては未知数。昔からのは宝玉をまとめて、玉、宝は使用多し。
外国のお守りはあまり普及していませんね。馬の蹄鉄、スカラベ、うさぎのしっぽ、蝉など、日本の店名は動物系が少ないから?ただ少ないとは言いながら、継続的に現れるのが「雄鶏」、コック。
イタリアンの「ガルロ・ネロ」、90年代のガイドブックに載っている喫茶店「ル・コック」、最近オープンした「ル・コック 恵比寿 2008年」など。
日本語と同様、西洋も幸運そのものをあらわす言葉、「ラッキー酒場」「キッチン・ラッキー」「フォルトゥーナ」「シャンス」の方が多いかも。わかりやすいですから。
☆ 外国アイテム+(プラス) (追加2021.10.16)
豚料理(『外国の豚料理』)を調べていたら、結構ラッキーアイテムとしている店があります。
古くは西洋のどのも宗教的に悪魔の仲間のような扱いでイスラム教も同じでした。ギリシア神話では月に関連し多産豊穣のイメージ。
どうやら近代にはいってからのようで、ドイツで祭の当り物で最下位の時の商品になったり、ネットでは14世紀赤い粘土と豚が同じ発音で聞き間違いにより豚の貯金箱が誕生、幸運金運のイメージが世界に広まったとありました。
日本ではヴァレンタインデーでも輸入物のチョコにはリアルな豚をかたどったものもあり、ミニブタと触れ合うカフェも出てきています、豚肉だけのイメージを少し変え来ています。
ヨーロッパでは幸運を呼ぶ子豚の鳴き声と伊語のワインのヴィーノの組み合わせた言葉から「オステリアブッビーノ 人形町 2013年」(写真)
洋食の「香味屋」の姉妹店「Cohon'Or(コションドールー金の豚) 御徒町 2014年」」、こちらの由来は不明ですが全国の同名の中には幸せを呼ぶ金の豚から命名とあります。
韓国から上陸韓国炭火豚焼肉専門店「ファングム食堂 有楽町 2008年」、2007年が600年に一度という「黄金のブタ年」(ファングムデジヘ)に由来するようです。金運アッブの黄金の豚で縁起が良いので付いています。 ★TOP頁へ★(ブランド名) ☆ラッキーアイテム ☆ほめ言葉の世界、好き好き、さまざま ☆リアルにタベル ☆ガツガツ!2 ☆職人魂
ほめ言葉の世界、好き好き、さまざま
大小、高低、強弱、人はそれぞれ好みが多種多様です。小さい、かわいいを前回アップしましたが、反対の大きいもあります。同様に様々な形容詞が店名には使われています。
日本語は漢字の良、吉、好で形容詞的意味が追加できるので名前にも頻繁に使われます。その流れで、最初に使われたのは良い、素敵なの意味のグッドやナイス、ファイン、クール、仏語ボン(良い)、シャルマン(魅力的、英語のチャーミング)が喫茶店に使われます。現在はジャズバーに代わっている「シャルマン 西日暮里 1955-2021年」「シャルマン 湯島 1947年頃」写真「シャルマン 渋谷 開店年不明」イタリアンは割と早くからボンとおなじ意味ボーノが出てきています。
仏語ボンは使い勝手が良く、隠れ利用で、梵や凡にも意味として含まれていると思います。
多い、多数の意味のタントもイタリアンだけじゃなく他の種類のレストランにも広がっています。より多くの意味でモア、ミューの比較級も利用されます。
今も昔も変わらず多いのは喜と楽、喜ばしい、楽しい、ジョイ、ジョイフル、仏語プレジール、伊語ジョイア、ピアチューレもあります。
形容詞は反対語があり、もちろん陽の方が使われますが、陰の言葉もありの場合もありますね。
新しい、古いはどちらもつけられます。多いのは新しい、ニュー、ヌフ、ヌーヴォー、モダンの各語ですが、古いのオールド、クラシック、ヴィユー、ヴェッキオも割とあります。時間の経過が価値ある希少な雰囲気を加えているためです。外国の地名が古いの形容が付くものが多いこともありますが・・・。
今の流行は擬声語タイプで、「ほのか」「ゆるり」「ゆらり」「わくわく」など、頭より耳に雰囲気が響く店名が主流です。
日本語では1981年に「たべものや楽 下北沢」、ダイニング系流行のおり、「快」「得」「彩」「爽」等が現れました。メインにはなりにくく、二字のうちの一字パートナーとして、今は大量に付けられています。
これら外国語修飾語の数が多いのではなく、代わる代わる別の店につけられてる印象があります。
インパクトのある店名ではありませんが、固有名詞の持つ歴史的意味をもたない、単純な無機質さが好まれる理由です。固有名詞はマイナス部分も含みますから。
時の中で育まれた美しいものや幸せを呼ぶモノたちより、今の自分の感覚だけが全て(水泳の北嶋選手の"超気持ちいい!"のような)のこの時代に合っているのでしょう。
リアルにタベル
インターネットの普及は視覚的に世界を狭くし、ありとあらゆるものが本当の顔をしてでてきます。逆に仮想世界は細部までこだわり、よりリアルに近づけて、世界を構築します。美を競うファッション雑誌もリアルに美の漢字をつけて「美的」「美スト」「美人百花」、イメージよりも直球勝負の姿勢です。
食う、喰う!
外食がお祭りの時代もありましたが、現代はいろいろな儀式が形式化して、お祭りがリアルではなくなってしまいました。
スポーツの試合や新製品の売り出しがその代わりとして大騒ぎの原動力になっています。
皆で集まり、祝う飲み食いではなく、日常生活の中で美味しいもの、食べたいものを食べるためのお店が増えています。そのため、食べることへ直に結びつく言葉があふれる方向にいっています。
英語の「イーツ」仏語「マンジェ」伊語「マンジャーレ」は直の響きは少なく、日本語の食うよりも飢えを満たす喰うの言葉が増加中です。
頭につくことが多く「タベヤ」「喰って家」「喰心房」「喰ス」「「喰わせ屋」など
贅沢に食べるイメージはご馳走、三昧、天国。ごちそう屋、ご馳走や、ごちそうダイニングのように頭をつくものや方言風に「ごっつおらーめん」「すし処ごっつお」「ごち魂」「Gochi」多様の方向。
ミシュランで名を知られた仏語のご馳走の意味、「ラ・ボンバンス 広尾 2004年開店」は知られすぎたがためか一軒のみ。
天国も同様に「肉天国」「イカ天国」「やきとり天国」など。天上の場のほかに地上の楽園、パラダイス、王国も同じです。これらは料理、食材をストレートに打ち出す店名に重宝されていますね。贅沢に心の赴くまま、食欲全開の場のイメージを広げています。
先に書いた祭り、フェスタ、カーニバル等も飲んで食べて騒いでの場面を好まれ、そこそこ使われています。
一番、単純なものは音で表す「ku」「kuu」「ぱくぱく」です。付けた側は他の意味で付けた場合もありますが、食べる側は食べることそのものに聞こえますね。
そして、形容的な「美味屋」「うまいや」、説明の肩先店名として当然好まれ、多いですが、このままついている店もあります。以前よくガイド本に載っていたのは「美味小屋 四谷 1976開店」です。生まれの十二支の午からと洋食の枠にとらわれず、美味しいものを何でも出すうまいものを食べさせる場という意味、現在のダイニング系のようなレストランです。
料理の分野を決めず流行のもの、人気料理をその場その場で作っていく居酒屋ダイニング系は、スピードの速い社会ではイメージを誘うだけでの時間も惜しくて、タベルを直にぶつける店名が良いのです。
ガツガツ!
現在、大流行の食べ放題ビュッフェ、案内本もでるくらい増えています。ガツガツ、山盛りにして大量に料理を食べている場ですが、、店名は元祖帝国ホテルの「バイキング」が大食のイメージを基にする以外、あまり店名にはそのイメージがありません。
大人気の品川プリンスホテルの「ハプナ」もハワイ語の水の湧き出る命の泉(ホテルのHPより)。ビュッフェの多くがホテルのメインダイニングやカジュアルダイニングのため、あまりガツガツとした雰囲気ではまずいのでしょう。広々とした、気持ち良い場所の店名が多いです。
ポルト、ラ・ベランダ、sky、カルネステーション、オーシャンダイニングなど。セブンシーズは七つの海の意味で、広さのほかに世界中の料理があるイメージですね。
最近の傾向は料理に関するもの、「すたみな太郎」「ザ・オーブン」「大地の贈り物」「ビタースイーツビュッフェ」「ザ・プレミアム」「めん、色いろ・いつでもおやつ」など。
大きなビル施設に展開しているブッフェチェーン「ニラックス 1987創業」は当初は「カーニバルブッフェ」「フェスタガーデン」のお祭り系でしたが、2005年にヴィラ、ロウジの場所系、2007年にいろいろ混ざった組み合わせを意味する「ブッフェスタイルアソート」がつけられていました。最新の2012年は「ブッフェスタイルアポロ」でオーソドックスなヨーロッパ風の匂いの店名になっていますが。
ガツガツ系は「マンジェマンジェ(仏語食べろ食べろ)」「喰う喰う(すたみな太郎系列)」の店名もありますが、少な目。ガツガツ、実際に食べ合う場面でのそれをさらに強調する店名は少し恥ずかしいかもしれませんね。
(★ブッフェはお客の行列で写真撮影は無理なのでイラストを挿入。) ★TOP頁へ★(ブランド名) ☆ラッキーアイテム ☆ほめ言葉の世界、好き好き、さまざま ☆リアルにタベル ☆ガツガツ!2 ☆職人魂
ガツガツ!2ー(追加2021.1.25) ⓢー (追加2021.1.28)
この項目をアップしたころはガツガツ行くのは恥ずかしいと書いていましたが、世の雰囲気は違ってきているようです。テレビも大食い番組がありますし、大食いタレントという芸人さんもいます。大盛売りの食べ物屋も多くあり、背景には料理写真のインスタ映えという流行も存在します。
以前は糖質系でしたが、現在は肉系をガッツリという雰囲気でこの店名が花盛り。擬態語もあふれています。
● 擬態語は美味しい!
ぞくそく続く肉系「ビストロガブリ 五反田 2010年、全4店舗」同じ会社の経営「ガブリシャス(料理を皆でガブリとシェアする) 渋谷 2014年」
「GABURICO(ガブリコ) 銀座 2012年」「Gabutto(ガブット) 新宿 2016年」
襟巻ローストヒーフ丼のがぶ丼が売りの「がぶ 武蔵小山 1999年」頭にくいしんぼうと付いています。大盛ファイターの登竜門!。ビュッフェの「ガブリシェア 六本木 2009年」は大口開けて皆でシェアして。
定番の擬態語からカレーライス「ぺろり 目黒 2012年」ラーメン「麺屋ぺろり 市ヶ谷 2012年」割烹の「MushaMusha(ムシャムシャ) 下北沢 2017年」開店したばかり焼肉店「もうもうくうくう 渋谷 2020年」
『ガッツ』のような根性ガッツいれて食べる意味か?「ガッツ・グリル 西新宿 1999年」「がっつりステーキ 立川、小平 2015年頃」ステーキ、焼き肉店が多いです。
変わったアプローチの「胃袋にズキュン 下北沢 2018年」胃袋に直球に届く料理、ワイン、自家製酒のビストロ。看板の胃の絵の中には擬態語、モグモグ、ゴクゴクッ、パリッ、シャキが描かれていますね。
▼ 空腹と満腹と
アメリカンなハンバーガー店も、「ハングリーヘブン 板橋区 2007年頃、チェーン店が目黒、麹町店ほか」「ハングリーチキン 神田 2018年」
定番のイタリア語の空腹の意味で「La Fame(ラファーメ) 根津 2006年、代官山から2020年移転」「IL LAFAME(イルラファーメ) 十条 開店年不明」。
写真はフランス語は珍しく1店ビストロ「J'ai faim Nakamegoro(ジェファンーお腹すいた) 中目黒 2013-2018年」
日本語の博多もつ鍋「はらへった 錦糸町 2008年」
正統派の満腹、こちらも肉系の食べ物屋、焼き肉が多いです。超有名店「まんぷく苑 勝どき 1954年」、定食中華店から焼肉店へ。こちらと縁戚関係にあるというビジネス系「焼肉まんぷく 自由ケ丘 1995年1号店、5店舗」。とんかつ「まんぷく 御徒町 1962年」は看板がひらがな「とんかつまんぷく」でお腹にドーンと響きますね。
他はビジネス系居酒屋「鱈腹魚金 新橋 2009年」、たらふくは満腹とおなじように「たら福」とした店名が多いです。
いろいろな言い方でアイヌ語の腹いっぱいの意味「ハルコロ 大久保 2011年」、山形県食材のバル「HaraCucci(ハラクッチー方言おなかいっぱい) 祖師谷大蔵 2013年」「ぼて腹ちゃん 池袋 2018年」ダジャレ系立食い蕎麦屋「いっぱい喰い亭 銀座 2013年」
満腹にはちょっと難解な言葉で、バル「酒嚢飯袋(シュノウハンタイ) 目黒 2012年」は四字熟語で酒を入れる革袋とご飯を入れるお櫃、大酒を飲み、飯をたらふく食べる、まとめて意味は無芸大食。
フレンチは空腹と同じく少数派、最近2店目をオープンした「Bistro plein(ビストロプラン) 表参道 2017年」は"plein"がフランス語のいつぱい、満たされる意味で、お店のコンセプトは『お腹も心もいっぱいに』になっています。
フレンチとイタリアンハイブリット店「Bisteria Satollo(ビステリアサトッロ) 自由が丘 2018年」、ビストリアがビストロとトラットリアからの造語ですが、Satolloは伊語の腹いっぱいの意味、シェフの姓が佐藤さんでもあるようです。
東急沿線のミニコミ誌『SALUS』に載っていたフレンチ「LA GODAILLE(ラ・ゴダーユ) 松陰神社 2015年」は大いに飲んで歌っての食事の意味。(2021.1.28)
まったく店名からは想像できない「AOI(エーオーアイ) 銀座 1999年」洋食ハンバーグ店で、アオイと読むのが普通ですが、お店のコンセプトの『Aー愛する人をOーおなかIーいっぱいに』を並べたものだそうです。ホントに?
大本の食べる欲、食欲からのファミレスビジネス系「APETITO Cafe(アペティートカフェーイタリア語) 表参道 1999年、既に閉店」と両面焼きそば店「あぺたいと(英語appetite) 高島平 1988年1号店」、もう閉店したフレンチ「アペティ・ドゥ・パリ(パリの食欲の意味) 浜松町 1996年」も。
◆ 大食・美食・グルメ
大食いクイーンがタレント化しています。同じくグルメと呼ばれる美食家も同様。人についての呼び名も店名に多くつけています。
古い言葉は今も使われている食道楽ですね。明治期後半に雑誌『食道楽』が発刊しています。
美食の歴史の世界の有名な北大路魯山人、彼が主催したのは「美食倶楽部 1921年」でした。
京都にある料亭「道楽 京都市 寛永年間(1623-1629)」、最初茶店として創業して、5代目から料理を出し始めて、現在14代目の老舗。豊國神社の門前茶店でしたから、道楽の意味は仏教用語の悟りを開いた状態を楽しむの本来の意味かも。
道楽は今は頭や尻尾につく事例が多いです。古いガイド本には一品料理店「食道楽 上野広小路 東京行脚1925年に掲載」。
食べログ上で古いのはグリル「KUISHINBO(くいしんぼう) 岐阜市 1976年」、東京は頭に付く事例が多数です。有名店は京都のミシュラン星の「くいしんぼー山中 京都市 1976年」というステーキ店ですね。
店数で圧倒しているのがビジネス系ステーキ店「くいしんぼ 会社1980年創業、写真は恵比寿店」他に閉店していますが「くいしんぼう 六本木 ぴあグルメ1990年掲載」は家庭料理の店にでした。お好み焼き、ホルモン、中華等多く食べる店が付けています。漢字の当て字のラーメン「喰心坊 墨田区東墨田」。おいしんぼの店名も食べログにはあります。
『わたしつくる人、食べる人』で言葉のみ、若干アップした洋系の店名グルメを詳しく書きますと、洋系のグルメ、フランス語の召使の意味から変遷して18世紀ごろから食いしん坊に意味に変化した言葉とか。
グルメの全国で古いのは大阪のサンドイッチ屋「グルメ 1956年」。他にカレー店「グルマン 国分寺 1975年」フレンチ「グルマン亭 代々木 1979年」「ビストログルマン 渋谷 2011年」
フレンチは形容詞や名前を付いて「プレジールグルマン 恵比寿 1992年」「オー・ペッシュ・グルマン(食いしん坊の罪) 幡ヶ谷 2010年」「Aux Gourmands オー・グルマン(食いしん坊たちと) 麻布台 2004-2020年、長野県千曲市移転」「Le Monde Gourmand(ル モンド グルマンー食いしん坊の世界) 自由が丘 2015年」。
八丁堀シュングルマン
2014年開店
西荻窪ゴローゾテツ年
2011年開店
写真の「SHUNGOURMAND(シュングルマン) 八丁堀 2014年」は名前をプラス。
変化形、御馳走、美食三昧の意味もありますが、食いしん坊もある「グルマンディーヌ 広尾 2015年」。同じく食いしん坊の意味の「La Goulue(ラ・グーリュ) 千石 1998-2012年」カフェの仏語美食家の「Bon Vivant(ボンヴィヴァン) 渋谷 2016-2018年」
以前イタリアンの店名も(『>食べる、食べる』)をあげていますが、追加して美食・食いしん坊の意味の「ココゴローゾ(トスカーナ語食いしん坊シェフ) 本郷 2003年」写真の「ゴローゾテツ(テツは名前の一字) 西荻窪 2011年」「Goloso(ゴローゾ) 蔵前 2014年」バル「golo:sita(ゴロシタ) 西荻窪 2012年」イタリアン「golisita(ゴロシタ) 恵比寿 2014年」。
本来は赤ちゃんへのオデブチャンという愛称的な「ciccio(チッチョ、女性はチッチャ)」にも食いしん坊の意味で付けています。
最初に見たのは再掲(『トラットリア シチリアーナ・ドン・チッチョ』)ですが、超有名店「Don Ciccio(トラットリアドンチッチョー今は真ん中にシチリアーナを追加) 渋谷 2006年」以後、増えています。シェフの修行時代の愛称からで、ブログ記事では同名のシチリアのレストランが2店あるとか、そのままの意味の太っちょおじさんのイラストがメニューにあり、皿の量も多めとかあります。イタリアンらしい店名なんですね。
「Cicciolino (チッチョリーノー太っちょ坊や)」「ciccione(チッチョーネー形容詞肥えている)」などのヴァリエーション語もあります。
最新のは中村屋7階「cicci(チッチ) 新宿 2020年」はイタリア語の食いしん坊の意味としています。
古代ローマの名家の名(アピキウスともいう)で、特に皇帝ネロの時代のアピシウスは大宴会を多く開催、美食の限りを尽くし『料理大全(Ars Magirica)』という調理法をまとめた著作もある美食家の名からの「APICIUS(アピシウス) 有楽町 1983年」は今も現役ですが・・・。
もっとも難しい言葉、美食術とか美食学とか訳すガストロノミーは高級フレンチの「ジョエル・ロブション(『プラスのチカラ』)」のように頭や尻尾によくつけています。
ギリシア人哲学者エピクロス(ガストロノミー思想の一部分を成す、料理名にも付いてます)からの、「EPICURE(エピキュール) 広尾 2014年」は美食学・食通学の意味となっています。オーナー名前についての店名「Epicure de Nagai(エピキュール ド ナガイ) 六本木 2008年」「エピキュリアン 永田町 1992年」は人生快楽愛好者。
新しいスペイン料理店「ElTragón(エルトラゴン) 虎ノ門 2017年」はスペイン語大食漢の意味、地名の虎ノ門も掛かっています。絶品の薪火で炊くパエリアが有名。リアルにタベルに連なる言葉はラテン系には大人気でした。(2021.1.28)
職人魂
日本人好みの性質、生真面目のコツコツ努力型は職人向きでした。閃きで勝負する天才を育てる教育制度も整っていないので、このタイプはとても多く、共感もしやすい。
蕎麦職人
麺の世界では老舗の多い蕎麦が抜かされ、今はラーメンが圧倒しています。足利の「一茶庵の創業者の影響で退職、転職で蕎麦屋を目指す人が増え、それなりに認められ数を増やしていました。三タテにこだわり、粉から水、水回し、ゆで方などこだわりでいっぱいでまさに職人の世界。
ただ、食べ手側の若い人口がラーメンに偏りはじめ、ラーメンの変幻自在の変化の魅力にも負けて、今は劣勢。割烹のご飯の変化球として、打ちたての蕎麦を出す高級路線の出現もあり、鮨屋と同じで名前が店名として多かった蕎麦屋も食べ物系の名が出始めています。
チェーン店に危機感が強く「たったん(肉つけ蕎麦)」「天そや(天ぷらそば専門)」「つけそば」「肉そば」のように料理名で勝負し始めています。
個々の店でも「ラー油蕎麦」「十割蕎麦」や「蕎麦の花 新橋 2013年開店」のように若い方向けのトマト蕎麦とガレットを出す変わり種を売りとする店も現れています。
ラーメンと同じ変化を求めるとスピード感が必要とされ、店名も味も変化してきて、蕎麦の求道精神はなくなり、職人魂も反映できません。
今は団塊の世代の退職後蕎麦屋をという流行の流れであり、なんとかやっていけるでしょう。
が、いつか蕎麦の店としては成り立たず、このまま高級割烹(または洋食の)のメニューの一品になってしまうのでしょうか。
写真は銀座の「篝(かがり) 2013年開店」で大きくSobaの看板が上がっています。ただ今、銀座のラーメン屋行列ナンバーワンのお店。メニューもSobaになっているそうです。
パン職人
パンはテイクアウト中心の店が多かったのですが、時代とともにカフェ併設も増えてきましたので、ここで取り上げました。蕎麦職人に代わり、職人魂を受け継いでいるのが、どうやらこの業界のような気がします。
つい最近(2013年)に出版された2冊の本『街角にパンとコーヒー 川口葉子 実業の日本社』『サッカロマイセスセレビシエ 池田浩明 ガイドワークス』を読むと半端ないパン職人のこだわりの姿が描かれていました。小麦粉、酵母、水、発酵時間等、自分だけのやり方を探して正解のない世界で奮闘しています。
パンの歴史を見ると、横浜で最初西洋料理のために作られて、後、木村屋の餡パンやジャムパン、中村屋のクリームパンが生まれ、菓子の分野入り、製パン工場中心に回っていました。戦前は軍隊のために、戦後の給食のパン食のため、主食のパンも普及し、山崎パン等の大手も創業します。
1970年代からオーブンフレッシュベーカリーとして、袋入りのパンから焼きたてのパンの提供が「サンジェルマン」や 「「ポンバドゥル」「パスコ」「ヴィドフランス」「神戸屋キッチン」が店数を増やします。
70年代の後半からはより、フランス本国に近いもの、高級ケーキ屋、高級食品店とデパートが提携した「ルノートル」「フォション」「エディアール」「ダロワイユ「ペルティエ」「トロワグロ」が華やかに目を引きました。
パンへ思いが強くなった2000年以降の店名はフランス語と自分の名前が多く見かけます。現在はパリエーション専門パンも出てきました。餡パン、ベーグル、バゲットはもちろんですが、ディニッシュや食パン専門店があります。
日本の中でも少しづづ、菓子パンではなく、毎日食べる主食としてのパンの位置が定まり(2011年に米を抜きました)自分の焼きたいパンだけを焼く、「ある意味高飛車ともいえるパン屋、ヘルシー、こだわり、本物志向、に・・・(ピコ゜さんのフランスパン物語 塚本有紀 晶文社より)職人パン屋が主流になってきました。
始まりはオーガニックパンからです。アレルギーの蔓延は主な食べ物小麦粉にまでおよび、卵、牛乳を食べることができないひとのために作られ始めます。
天然酵母のフランス語「ルヴァン」の店名の富ヶ谷のお店はその代表店です。
このルヴァンの影響を受けたパン屋は全国的に広がっています。
1998年、三宿にオーガニック系のお菓子店「ラ・テール洋菓子店」がオープンしますが、その後2002年の「ブーランジェリー・La Terre(ラ・テール)」、2008年により職人力がこもった「アルティザン・テラ」を開いています。関連の『麦わら帽子の会』HPよりの『フランス語で「大地」を意味しており、その名の通り、小麦粉、酵母にはもちろん、水や野菜、果物にまで原材料にこだわり、その持ち味をいかしたパンを作っています。』とあります。
店名は名前も多いですが(フランス風の)仏語や他言語のメッセージを込めたものも見かけます。フレンチの「カンテサンス「「フロリュージュ」「リューズ」「アルシミスト」ような高濃度タイプです。
一番凝っているのは「シニフィアン・シニフィエ 三宿 2006年」、仏語で哲学用語ですが、「意味するもの、意味されるもの」の訳を読んでもなかなか理解できない言葉。
それぞれの取材の記事を読むと、フランスのパリの街角にある日常的なパン屋、ブーランジェリーにあこがれている方々が多く、お客に普通にパン屋として使われるのを望んでいるので、店名の思いはオーナーのものだけでも良いのでしょう。
本当に美味しいパンの提供にこだわると、料理として客に食べてもらいたいとカフェを作ってしまう職人もいます。タルティーヌというオープンサンドやサンドイッチでカンパーニュという焼きたてより時間を置いた方が美味なパンを出しています。
町田の「サンス エ サンス 2013年開店」は繁盛していた千葉のお店を閉じ、一番美味しいパンを食べてもらいたいということで、カフェをオープン。店名は感覚と感覚の仏語、作り手と食べてのセンスがあったら、素晴らしい味を経験出来るということでしょうか。
アートに近づいてパンを作っていたトランスレパンテのオーナーは今期の大震災の際、自慢のアート系パンが売れ残り、日常的なバゲットや食パンを買い求めるお客を見て、パンは日常食の思いを新たにしたそうです。(『街角にパンとコーヒー』より)
また、三宿のオーガニックパン屋、ラ・テールで小麦粉にこだわりオーガニック系のパンを作っていたブラフベーカリー(横浜市元町)のオーナーシェフは小麦粉にもこだわらず、昔なつかしい日本のパンを作り、ニューヨークテイストにして、お客に馴染みやすく、こだわりを捨てていました。
2011年に芝公園に開店した「ル・パン・コティディアン」、ベルギーから来たこのパン屋さんはカフェも朝からオープンし、店名の意味は仏語の日々の糧。
パンの系統としては第一次世界大戦後、ドイツ人捕虜から流れのドイツ系パンもありますが、神戸のフロインドリーブが有名です。店名としてはフランス系より変化が少ないです。
時々行くレストランとは違うのは毎日食べるパン、お客は幼児から年配まで、日々の生活のなかに溶け込む気取りのない優しさが必要なんです。
★ドイツ系のパン屋★
店名としてはドイツ系は少なめですが、パンの製造では基礎の流れはドイツ系のパンにあるかもしれません。戦後のオートメーションのパンの製造はアメリカからやってきて多くの大手はこちらの流れに沿っていますが、戦前の敷島パンや神戸屋はドイツパンの系統に属しています。日本人の好みが白い食パンで焼きたて、茶系の時間を置くと美味しさが増す、ドイツパンは劣勢でしたが、オーガニックの流行にも後押しされパンとしては増えてすます。
店名はドイツ語のパンの家。近所に気軽に入れ、コミュニケーションをとりながらパンを買う雰囲気を大切にしたかった店名です。
★追 加オーナーの本が出版、『パン屋の仕事 明石克彦著 旭屋出版 2017』最初はパンの村と付けようとしたのですが、響きが良いとのアドバイスでパンの家、故郷を意味するこの店名にとあります。(2017.6.30)
同様に既にオーナーの急逝により閉店しているオーガニック系「アコルト 神宮前 2002-2011年」。その残された『アルコルトのパン』から見ると材料、温度、製造過程など強い職人のこだわり、想いが書かれていました。載っているパンの名前もほとんどドイツ語でした。ドイツ語アコルトの意味は和音、パンがいろいろな食材と調和するように。
パン屋のお客は女性が多いのでどうしてもやさしい響きの仏語に成りがちですが、職人の想いがもっと押し出されれば力強い店名も増えるかも。
最近人気のクラフトビール(手作り、手間がかかったビール)のビアバーはドイツ系(ベルギー、イギリスもありますが)のガッチリ濁音多めの店名がおおいように。(2013.10.28)