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日本人は何を求めどこへ? 4

漢字の力・・・かんじ、こんなカンジ

大、小、古、新の漢字を付ければすぐ新しい店になります。なかなか、個々の事物で表すことができない形容詞の世界は直接その漢字を使用する例が今は主流です。比較的古いのは楽しいの楽、喜ばしいの喜。両方合わせて、気楽の字を変え「喜楽」が一番多いでしょう。
今時の子供たちの名前は読みは今風ですが、サイガ、タイガ、ユウナに親の持てるすべての願いを込めて、とても読めないような漢字を当てています。
内田樹氏が「日本辺境論」で書かれているように本場中国よりも日本のほうが漢字の呪術能力への期待度が増しているようです。

継いで、チェンジしてがんばる?

弁天山美家古寿司
弁天山美家古寿司 1866年開店

なかなか、捨てられないものがあるように、なじんだ店名を変えるのができない場合があります。また、本店とか修業先との繋がりを維持したいという気持ちもあるでしょう。
江戸時代からあるのが仮名の元字にすることです。字数をふやして呪の力を強力にする作業です。
平仮名は平安の時代からいろいろな漢字を元にしながら、精査され、あまり悪い意味にならない文字が当てられています
浅草の弁天山美家古寿司の親方内田栄一さんの『江戸前の鮨』で創業50年に配った風呂敷に「美どりこき 家なぎことぶく 古としかな」から三文字をとって、平仮名みやこから現在の店名にした顛末が書かれています。
三つの字ともに仮名のもとの漢字にあたります。「美しくて古い家」の意味を込めいてるそうですが。漢字の呪の力を借りて、さらに長くお店を続けていくリニューアルな気分を客も店も呼び込んだのでしょう。
同様に信田から「志乃多゛すし」、みどりから「美登利寿司」、三河屋から「美可和家」。
自分の名前を変えるのは多数。田中から「多奈か」「多奈可家」「多奈加亭」、住田から「寿美多」、岩田から「い和多」、菊池「貴久知」、小松「小満津」、小岩「小以和」木村から「喜邑 二子玉川 2005年」。

日本橋多奈か
日本橋多奈か
銀座の鮨屋の「なか田」は今は「奈可田」になり、ここから独立した六本木の「奈可久」は最後の字が自分の名で、継続の現れです。
同じ鮨屋で店舗が多いのが、最初の開店が銀座の勘八。元々が鮨職人を養成し、10年で独立するシステムの店なので、当然ではあるのですが、店名以外にその店名表示の看板に個性的な面もあります。
「磯勘(明大前)1970年」、「松勘(麻布十番)1978年」、「すし屋の勘六(浜田山)」、「芳勘(学芸大学)」など。
八の字を継ぐ「大八(吉祥寺)、華八(大山)。勘八と初花のふたつの修業先から「花勘(お花茶屋)」となのっている鮨屋もあります。
人形町今半
人形町今半 1956年(浅草1895年)
すき焼きの世界では「今」が明治から引き継がれています。天婦羅の天と同様、明治時代、白金今里町に食肉処理場からの「今」がすき焼きの代名詞になったことがあります。
牛鍋「今広(銀座)」、ここの出身1880年開店「今朝(新橋)」、「今荘(神田)」、1895年開店「浅草今半(初代の名、半太郎)」、ここの分店「人形町今半」、ほとんど今と名前の組み合わせの店名です。
ただ、浅草今半のように「今だ半ば」(HPより)、今風、流行をを取り入れている店に意味を変えています。
2006年オープンの「今彩(神楽坂)」はサムシングニュー、古さの中に新しいもの、今風のものを見つけ共生させる(HPより)と今は漢字の意味に沿っています。
蕎麦屋は系列になっていて、そのまま店名を使うことが、多く継ぐ例はあまりないです。今、一大勢力の柏市の「竹やぶ」。池之端藪で修業していますが、店名からはすぐにわかりません。
日本料理の割烹等は大阪のつる家から「つる寿」、京都のたん新から「たん良」など、大阪、京都での修業店が多く、東京都内は少ない。京都たん熊からの「京味(新橋)」から「京津田」、「京ふじ 銀座」がでていると文藝春秋の2010年の『東京いい店うまい店』にありますが、京都との区別はつかないです。
同書の中で、東京は経営と調理者がべつの店が多く、で、かつ京都、大阪、東京といろいろな店で修業することが普通で、一店のみは少ないこともあります。
修業先の店名を継がなくても外国語と違い、古典から芸術の世界から自分の好きな言葉を選ぶことがて゜きます。
外国の地名はカタカナが多いのですが、片仮名は新しさと軽いので古さを残す意味もあり、フランスの「仏蘭西」、伯剌西爾、巴里など明治に始まった漢字の地名がまだあります。
もっとも活躍しているのは伊太利亜です。初期から使われているのですが、何度も言うようにイタリアは文化浸透度が仏より少なくて、同じもののバリエーションでいくしかないようで、いまも「伊太利庵」、「伊太利亜市場」、「伊太利亭」があります。
古い感じの賀字、福を「冨久」菊を「喜久」升屋を「満寿家」「萬寿野」かえて頑張っているのもあれば、巴のように現代もこのままやっている店が多いのもあります。
港は「美奈登」よりもひらがなで「みなと」する店が多い例があります。漢字のフォーマルな、堅い雰囲気より、平かなのやわらかい和様が合う時もあります。

一字で頑張る!?  ⓢー(追 加2017.11.3)

銀座凛
銀座凛

店名の元の地名が二文字のため、一文字は珍しい店名でした。漢字を組み合わせる時、たいていは二字の組み合わせ。商売と名前、姓と名、重箱と呼ばれる強調の漢字組み合わせ。長寿、松栄。江戸時代後期からでできた料理と名前の組み合わせ、魚常、魚正、鳥料理、天婦羅や鮨屋は昔から名前の一字との組み合わせが多いです。
訓読み、恵(メグミ)、清(キヨシ)、誠(マコト)は対象外として、近頃は変わってきています。ただ、独自にポッと出るのは無理で、二字以上の店名で広がって、その変化型になります。
音読みで一字のものですが、私的に最初に見たのが「丁(目白台)」。1983年開店で、店のある場所がT字路だった故の店名でした。角屋と同じ名づけ方です。
楽が順当の出番で、喜楽にも出できますが、単独でもてんぷらの「楽亭(赤坂)、そして今の大皿料理を普及させたたべものや楽(下北沢)が有名。
凛が一番特徴的。漢字のそのものの意味は「さむい」ですが、寒さで身が引き締まる状態、すがすがしいイメージがあります。
NHKの朝ドラマ「凛凛と」、元親方の奥様の「凛として」でマスコミにも登場していました。
一字の音読み店名にはわかりやすいという利点に、ローマ字表記にしても違和感がなく、字の数もすくなく、読みやすい。銀座の炭火焙煎珈琲凛も「Rin」と看板にありれます。

◆追 加(2017.11.3)銀座の「凛」も4店舗になっている人気の凛。ラーメン「凛 渋谷 2011年」、イタリアン「凛 浅草 2011年」、鮨「凛 銀座 2002年」和食「凛 北千住 2013年」蕎麦屋「よし房凛 根津」、韓国料理、居酒屋も店数が増えています。

同じく、爽、粋、快、魁、縁、円、連、遊、然など。これらは訓読みできるものもあり、爽がさわ、粋がいき、縁がゆかり。店側のこれもありの考えも伺えます。
神宮前WA
神宮前WA 2011年、既に閉店?
音読みの一字の変化形で、ローマ字の音のみでイメージさせるのはとても難しい。
「分店なかむら食堂」が評判のフェアグランド経営1996年開店「KAN(中目黒)」のようにフードビジネスの宣伝力が必要ですね。HPではこの店名は「潔さ」をコンセプトにしているようです。
同様にゼックスの「An(愛宕)」も同じでしょうか。漢字と組み合わせないと、音だけでは弱い感じがします。
写真はローマ字のWAの店名ですが、いかがでしょうか?

★ワインバルWA★
ワインバルWAは日本のワイン、日本の食材を使う和洋融合をコンセプトにしています。和の意味のほかにオーナーもワタナベさんとなっているので、その頭文字のWAもたぶんはいっていると思います。(2012.2.12 食べログでは閉店か?)

創る漢字

神宮香咲
神宮前香咲 1984年開店

人の名前もそうですが、まったく存在しない言葉を使っての造語は難しいです。音相の専門家も言ってますが、聞き手に音が属し、意味は作り手にありで、まったく聞いたこともない音は聞き手は雑音になり、まったく記憶にのこしません。どうしても、借音という方法で知っている言葉から作り出します。
万葉の昔からこの方法で漢字から文章を作っていますので、まったく抵抗のないやり方。
店名に興味をもった80年代に出会ったのがキラー通りの喫茶店「香咲 神宮前 1984年」。字の通り珈琲の香咲く、スペイン語の家の意味のcasaを借りて、人の集る場所にの想いこめたとのこと。
今ではカサはマンション名に使われていますが、この頃はそれほどでもなかったので、コーヒーの香が花咲くイメージをさそう良い店名だと感じました。今、本を見るとプラス雨を凌ぐ傘のイメージをも加わっていました。
新宿のワイン酒場「彗冨運」、スプーンと読むのですが、漢字を使って幸福を運ぶスプーンの意味になっています。
最近見つけたのは菜厨瑠(船橋)、ナチュールと読めますか?。地物野菜と旬の魚のお店ですが、なかなかイメージするのが難しいですね。
目白の和食店「和幸 1969年開店、2010年閉店」は「人と人の和、海の幸山の幸で幸せに」の造語、音は多分仏教用語「和光」。聞こえる私たちは銀座和光の高級店イメージをかんじますね。
味は食関連なので、人気で昭和初期から「香味屋」「芳味亭」「味政」「京味」「味満ん」「美味小屋」があります。

自由が丘味彩
自由が丘味彩 2000年
味を強調、形容しているものが多いのですが1977年開店の赤坂の鮨屋「味楽留(ミラクル)」のように借音もありました。味楽留は鮨屋にしては変わった店名ですが、戦後、店を持たず雇われの親方藤本繁蔵さん(鮨世界の天皇と呼ばれているそうです。)の関りで鮨屋文献に出てきます。
今は同様に好かれている彩とともに「味彩」と使われます。花の紫陽花の音を借りています。
写真の和洋折衷の「味彩 自由が丘 2000年」居酒屋「味彩 荻窪 2001年のガイド掲載(食べログでは現在無国籍料理AJISAI)
20年前のグルメのメニューブックで新宿の「あじさい宿 1989年」を始めてみたのですが、ひらかなの表示ながら、料理は洋を取り入れた和食で食器にも洋を使い、いろいろな味を味わえるとあり、この「味彩」の含む意味通りの店でした。
新しい店名「味農家」、以前なら「美濃家」でしょうが、地名より料理という時代性です。
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近くに、見えるところに

いろいろな食べ物が海を越えてやってくる昨今。素敵なものもありますが、不安感もある

食材をつくる場

六本木農園
六本木農園 2011-2015年

今も昔も変わりなく、フランス産のフォアグラ、カスピ海産のキャビアなど遠くから来る食材の人気が失せたわけではないのですが、食の不安は鳥インフルエンザ、BSE、牛生食の食中毒などひろがるばかり。
魚好きな日本人は生簀のある店など魚料理の店は食材の現場に近い店名は以前からありました。江戸時代は実際、川の側にあり。生簀を備えて、料理し提供していたのですが、今は無理。
最初は場所、地名でした。築地にないのに「築地」「魚河岸」。「網元」「漁小屋」「海女小屋」、新しくは「四十八魚場 2011年」、「イカセンター 2008年新宿1号店」なんてのも。
なるべく近くで取れた物を食するスローフード、地産地消への傾倒もひとつのうねりでしょう。庄内の「アルケッチャーノ」のように材料の取れる地に行くのもひとつの方法です。店名も地方に因り、方言からだそうです。
でも、都会にある店はそう簡単には移せないので、せめて店名を食材の近くのイメージをというわけです。

★仲卸・問屋系列★
中卸、問屋も食べ物屋を開いています。江戸の八百屋の八百善のように扱っているものを料理して食べさせるのは昔からありました。こちらは食材の近さというより、扱う食材の多彩さ、安さが売りでしょうか。
焼肉問屋、魚問屋、海鮮問屋が頭に付いている店が多いです。実際問屋や魚屋ではなく、丸冨水産(神田、2006年開店)、はじめ鮮魚店(築地、2011年開店)のようにイメージコンセプトにしています。2009年、西新宿に開店し、店を増やしている本当の中卸の「タカマル鮮魚店」もありますが・・・(2012.6.23)

健康志向の広がりもあって、野菜はその中心になっていましたが、店名としては一部の自然食嗜好に限られていたのです。
90年代には「やさい屋」や各食材の店名がメインでしたが、2006年に「農家の台所(国立)」が開店すると、いっきにこの作り手メインの店名、「やさい畑(新橋)」、「農家のおすさわけはな豆」、「ハタケ青山」、(畑)ハレノヒ、「六本木農園」などがつくられます。あたかも、そこで食材が作られているような・・・、実際つくっているレストランもあります。
ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ
ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ(祐天寺)
2011年開店
そして、真打の肉屋系列、2005年頃から日本人のたんぱく質の中心が魚から肉に切り替わったそうです。肉食系、肉食系女子なんて言葉がマスコミ的には騒がれています。
肉のブランド平田牧場の最初は日本橋店(2004年)、山形産牛をあつかう「加藤牛肉店(銀座)」は2009年のオープン、「塚田農場(2009年)」。
チェーン店「肉屋の正直な食堂」は店名通り、コンセプトは肉屋の親父が始めた食堂ということ。
洋食系は特色を出すため、肉中心のメニュー作り、肉の熟成を打ち出す店が出てきました。
アンティカ・オステリヤ・カルネヤ(伊、神楽坂)、ラ・ブーシェリ・エ・ヴァン(ワイン、丸の内)、店ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ(仏、祐天寺)、ブッチャーズ・テーブル、最近の開店、東京ブッチャーズ。
なにより「ブーシェリー・デュ・ブッパ」は「猟師の肉屋」ですから、究極の近さですね。
同じ猟師の意味でまたぎ、2007年のガイドブックに「マタギが街へ降りてきた」という長い店名のジビエのレストランが初お目見え。
いつの間にか増え、この店も「オステリァマタギ(中目黒)と2011年に改称。「またぎ(西麻布)」、「伊のマタギ(水道橋)」、「炉とマタギ(八丁堀)」が食べログで見つけることができます。

作る場・食べる場

アターブル
アターブル(中目黒) 2008年

作り手と食べ手の距離が意識されだしたのは最近です。蕎麦なんかは三たて、製粉、成型、調理をその場で行う自家製麺を復活させたことで、前から、かしましく言われています。
パン、ケーキ類も焼きたて、作りたてが強調され、ホームメイド、ファクトリー、ファーム、工房の作る場の店名を付けられる例が多くなっています。

★製麺所★
この間、街を巡っていて、気が付いたのですが、製麺所のついたところが増えていました。讃岐うどんのチェーン「丸亀製麺 兵庫県加古川市 2000年、1号店開店」が急激に店を増やしている影響でしょうか。もちろん麺料理限定ですが、讃岐の地元のやり方を持ってきた提供の仕方、店名です。以前同じチェーン化したはなまるうどんより、広がりが大きいです。
ラーメンはつけ麺ブームで「三田製麺所 三田 2008年開店」なんかは東京都内14店、台湾にも拡大中。

それまでは料亭、レストランは特別の時、場所を楽しむところで、料理人は外にはでませんでした。
昭和の初めに始まったカウンター割烹「浜作」の提供形式が近頃、日本料理だけでなく、洋の世界もシェフズターブルなり、カウンターが導入されてきています。
作る人との距離を近づけるこのスタイル。店名としてはテーブル、「コントワール」、「ザンク」、「ターブル・ドット」でしよう。
食卓、テーブル、ターブル(仏語)、ターボラ(伊語)は最初は中華の「ダイニーズ・テーブル」(1981年開店)のように主人のテーブルで一緒に食べるイメージ、現在は○○屋の屋の代わりに多くありますが。
★テーブル★

最近(2012年)オープンのお店で目立って多いです。オギノ(仏)が開いたテーブル・オギノ、4月にオープンした「リベルテ・ア・テーブル・ド・タケダ(麻布十番)」、渋谷の新ビルのレストラン「シアター・テーブル」。(2012.05.11) チェーン店「アロハテーブル 2006年1号店」「ファームテーブル」も店数を増やしていますが、距離感で行けばバル業種のような友達風なのが一番テーブルのしっぽがふさわしいようです。
ワインバル「ブイテーブル 神保町 2013年」「ヒマラヤテーブル 神田 2013年」「ファームトゥテーブルワイ 恵比寿」「ビーフテーブル 祐天寺 2015年」「マンマルイーザテーブル 渋谷」など。
もう一つがシェフに特別に招かれた雰囲気のテーブル。会員制フレンチの「アドニステーブル 南青山 2015年」、「ラ・ターブル プリヴェイ イシダ 銀座 2015年」は石田のプライベートテーブルの意味(2015.6.3)

ダノイ
ダノイ 2012年日本橋移店
緊張感をなくすため、自分の家の雰囲気で「我が家」の店名があります。
銀座のフランス料理店「シェ・モア 1978年」はフェーマルに思われている仏レストランを「自分の家のようにゆっくりと」うったえていました。同様なものは「コムシェヴゥ(代々木上原) 2001年」「コム・ア・ラ・メゾン 赤坂 2001年」、「ラパルメントディナオキ(麻布十番) 2010年」。
ほかにメキシコ料理店「MI CASA TU CASA(ミカサトゥカサ) 赤堤 2001年ガイド掲載」も私の家、あなたの家と同じようにくつろいで楽しんでとのお客を迎えるときの挨拶を店名にしています。
ただ、最近のフランス料理の方向はより身近にが今のあり方なので、スタイルが応接室からキッチンへ(料理通信より)、居酒屋方式となり、店名も前回の『遠くにあこがれて』でも書きましたとおり、オーナーの名前や身近な小物、スプーンやカップが近くにを表しています。
マーノエマーノ
マーノエマーノ(池袋) 2011年開店
イタリア料理は当初から身近で特に人物で、心理的な近さ、親近感を表現することが中心。ノンノ、パッパ、バッポで身近な知り合いのが作っているイメージをうったえます。
もちろんカジュアルラインで、フォーマル系は「ダノイ(西麻布)」わが家への意味のレストラン位でしょう。
最近のイタリアンの方向は仏とは反対で、よりイタリア現地へ近くの店名が多くなっています。
伊語の手の意味のマーノを付けて、「ア・ラマーノ」、「マンマーノ」、「マーノエマーノ」など。手作りとか手から手へということで、作り手との近さを表しています。
でも、全ての分野の一番わかりやすいのはイタリアンにも多いお母さん、御袋の味を強調することです。最近5人のクリエータが作った六本木ヒルズの「マザーズ食堂」はその典型です。

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健康のために ヴォートル・サンテ(あなたの健康を祝して)

洋食の項で「精養軒」が洋食が栄養のある食べ物の説明の店名といいましたが、それ以前は初物を食べることには江戸っ子は命がけでしたが、栄養というものを考えていたかどうか?。

食べる、食べる

スタミナ苑(月島)
スタミナ苑(月島) 1950年開店

戦後は栄養のカロリー高め、つまりたくさん食べることに興味がありました。帝国ホテルのビュッフェスタイルのハシリ、バイキング。1957年より始まったスウェーデンのスモーガスボードの食事形式を模したもの。映画「バイキング」でモリモリ食べるバイキングの食事姿を見て、この名前をつけたそうです。
キッチンカロリー、スタミナ苑は1960年代からあるようです。
『スタミナ』という言葉は1962年から出版物に使われ、認知度が上がります、体力、勢力、持久力という意味。
鹿浜の「スタミナ苑 1967年」、ミシュランでも取り上げられている超人気の焼肉店。
スタミナ太郎は江戸一が1978年よりやっている焼肉からお鮨まである上記のバイキングスタイルのチェーン店。

イル フィーゴ インゴルド
六本木イル フィーゴ インゴルド 
2010年開店
今はダイエット時代、太ると就職も関門になる世の中、それでも腹一杯は人気があるようですね。デカ盛り、メガ盛りのハンバーガー、ラーメン二郎(山盛りの量の多さで有名)、東京チカラめし、スタ丼のチェーン店が増えつつあります。
一番わかりやすいのはまんぷく、たらふく、おおもり。いろいろな漢字をあてはめて店名は作られていますが、イタリアンはこの列に属する店名がイメージからも多いです。
大食い、食いしん坊の意味で「ギオットーネ 池袋」、「イル・ルポーネ 中目黒 2004年」、「イル フィーゴ インゴルド 六本木 2010年」など

食べない、たべる  ⓢー(追加2018.3.31)・(追加2017.11.10)

2012年、本が何百万部も売れたタニタが丸の内にそのメニューの「タニタ食堂」オープン。カロリー低めのメニューが人気です。ダイエットのためには食べないのが最も有効なんですが、人間の食欲はコントロールが難しい。体に良いものをお腹一杯ですね。
医食同源は中国料理の世界で言われていました。代表が薬膳、薬膳火鍋はとても人気料理。
店名はそのまま「医食同源」、「美89ZEN」、「薬膳カフェ」。
1960年代からら健康食ブームが素材を変えて、大量に体によいものの情報提供がされます。
1900年のにんにくから1920年代のホルモンの第一次ブーム、戦後は山のように。自然食、紅茶茸、薬草アロエ、豆乳、コラーゲン、近々は2012年ののトマトなど。
これから増えそうなのは発酵食を扱う店でしょうか。塩麹がブームの本が大量出現中!確認できるのは2店ですが。

マクロビオティックマルシェ(恵比寿)
マクロビオティックマルシェ(恵比寿)
食べるだけではなく、生活スタイル、生き方にも影響するものもあります。。ベジタリアン、オーガニック、マクロビオテック、ビーガンなど海の向うから来たり、日本発のもあります。
そして、その食の中心は玄米と野菜系。
マクロビの提唱者久司道夫氏の「クシ・ガーデン」、「チャヤマクロビ、マクロビカフェ(新宿) 2002年」、「マクロビオティックマルシェ(恵比寿)」、「オーガニックハウス(新宿)」、「ビオカフェ(渋谷) 2003年」、「ビーガンヒーリングカフェ(渋谷)」。
変化型で、オーガニックORGANICの逆読み「シナグロ(表参道)」。
「ブラウン・ライスカフェ(表参道) 2003年」、「イートモアグリーンズ(麻布十番) 2007年」、「まごわやさし(食材の名の頭文字、まは豆、ごはごまなどから) 三田 2011年」「つぶづぶカフェ 新宿区弁天町 2006年」など食材系も。
酵素をこわさないように低温調理するローフードの店も増えています。
「レインボーローフード(浜松町) 2010年」、「カフェアライブ 代々木 2008年」、「マナ(代官山) 2009-2011年」。マナは聖書の中に書かれている神から与えられた食べ物のこと、つまり自然からの贈り物。最初頃の自然食レストラン、「菜食の店マナ」は1973年開店でした。
◆追 加(2018.3.31) ちょっとちょっとと思う「GREEDY Raw SWEETS グリーディ ロー スイーツ  代官山  2015年」は生の食材を使ったスイーツ店。GREEDYの意味は欲張り、貪欲。由来は食いしん坊さんの欲張りスイーツだそうですが・・・。
英語の生の意味の野菜料理店「.RAW (DOT RAWードットロウ) 六本木 2017年」が新しくオープン(2018.3.31追加)

マクロビオ系で気が付いたのは、最近のオープン店のある場所が最先端の流行の地であること。以前は中央線沿い、サブカルチャーエリアと称される地区でした。体に良い食べ物が高級化しているということですね。
ついでに、横文字が多い。マクロビオテックと同様の意味で「身土不二」という言葉も出で来るのですが、この名の店は一軒。
和食には普茶料理、精進料理という分野で肉なし、魚なしのお寺さんで出てくる料理があるので、少ないのでしょう
「魚豆根菜やまもと 恵比寿 2003-2013年」、「潤菜どうしん 新富町 2007-2015年」、「旬菜食健ひな野 2007年関東圏内 2012年二子玉川」のように頭に説明をいれるタイプが多いです。
関連する禅、その台所にあたる典座、坊でネット検索しても料理が健康的な店はあまりありません。本当の寺の宿坊がつくっているのはありますが。
人関係はもう閉店したか?洋系の「もんくすふーず(吉祥寺)」、修道士の食べ物という意味の店位か?。
★モンク★

資料がみつかりまして、モンクはジャズピアニスト、セロニアス・モンクで店では「モンクス・ムーブ」の曲がかかっているとのことです。(2012.6.24)
村上春樹氏の音楽エッセイ『セロニアス・モンクのいた風景 新潮社 2014』にはモンクのジャズは独特、超個性的とあるとのこと。ノーベル文学賞の発表のたびに大騒ぎのハルキニスト達の定番の音楽になるのでしょうか。(2015.5.10)


直に効用を謳った店名ものも多く、「菜食健美 大久保 2006年」、「アンチエイジングレストラン(麻布十番) 2005-2011年閉店)」、「百彩健美あけびの実 御茶ノ水 2008年」、「百一彩 町田」、「クリニカル・ガストロノミ・エスペリア(伊、曙橋)」、「ラ・ロンジェヴィテ(仏、不老長寿の意味、白金台) 2008年」等。
オテル・ド・ミクニの系列、「ミクニマンスール(四谷) 2005年」のマンスールはほっそり、美容、痩身に意味。
ヘルシー館(市ヶ谷)
ヘルシー館(市ヶ谷)
なによりも、わかりやすく多いのは健康、それに元気!。多いので英語や伊語、仏語も登場しています。
大手の元禄寿司から1990年の改称「元気寿司」、「元氣亭(両国) 1994年」、「ヘルシー館(市谷)」、イタリアンの「ヴィゴーレ 六本木一丁目 2011年」「イル・ヴィゴーレ 神保町 2014年」、「ビゴーレ(中目黒) 2006年」、「ビゴロッソ(渋谷) 1993年、既に閉店」、「ラサルーテ(新宿) 1999年」。フレンチの「ルカンケ(白金) 2009年」、「コラッジオ(渋谷)、移転改名」
◆追 加(2017.11.10) 「元氣亭(両国) 1994年」は1971年に玄米・発酵食品を製造販売の会社「玄米酵素」のアンテナショップとして東京のお店の2階に開店しました。今やクッキングスクールも開いている自然食の殿堂。結構とんでもないものを食する農学博士小泉武夫先生のお勧めレストランとしてHPに載っていました。(2017.11.10)

東京のお店ではありませんが、「イル・ルー・ゴディタケウチ(大阪)の店名コンセプトが作り手側の願い(食を正して、心も体も元気に)が食べて側の願いですね。
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