日本人は何を求めどこへ? 3
遠くにあこがれて~海のはてに目を⇔足元をみての日々
文化的には戦前はドイツ、フランス。戦後はアメリカ。海の向うの国々への想いを込めた名づけの最初は地名から始まる。
遠くへ
江戸時代は唯一「蓬莱屋」が海の向こうの世界の店名でした。中国の東の海にある仙人が住み、松、梅、鶴が舞う不老長寿の世界が広がる島。宝来と記している店も今はあります。
それが鎖国が解かれ、一機に海の向うのフランス、アメリカ、東洋の各国が見えてきます。都市のなから、名所の名前、通りの名がつけられました。
最初のころのカフェの「カフェブラジル」、「カフェアルプス」、リスボン、ジュネーブから仏料理の「アラスカ」、「フオンテンブロー」、「シュノンソー」、イタリアのシチリア、サンレモ、ローマ。都市名だけでなく、シャンゼリーゼ、スカラ座、カフエドフーケ、ポンデュガールなど街にあるものも。
「ロシェル」、「ドゥロアンヌ」等のシェフの修業先もとても多いですね。同等のレベルまで料理から店の作りまで目指したい。それは現在も変わらないので、引き続き西洋料理全般の傾向です。
最近ではアメリカにあるホテル名から「マーサカフェ」が生まれています。
イタリア料理の西麻布の「カピトリーノ 1978-2008年開店」、本場のイタリア料理にこだわった姿勢を強く打ち出していましたが、閉店して次の店名は「エル・カンビドイオ 経堂 2009年」、カピトリーノの現地読みとのこと。さらにイタリア色、食を強くしました。ローマの七つの丘のひとつ、一番高いカピトリーノ、同名の美術館があり、ミケランジェロ設計の広場もある観光スポットです。
もうひとつイタリアン色は「バカール」「オストゥ」「バンカレッラ(屋台)ジョイア」「ラ・ボッテガ・デル・グースト」「メッシタ(酒場)」のような現地色濃い食べ物屋の店種名を最近つけていますね。
足元にあり ⓢー(追加2014.7)
今、若い人が外国に憧れがないと言われています。グーグルアースを使えば、なんとなく様子が見ることができます。
門倉貴志氏がワーキングプアの2冊目の本の中で若者の行動範囲がとても狭くなったと分析しています。
大宮ならそこだけ、立川ならその周辺を回遊する若者たち。外国へ行きたい若者も減っている状況とのこと。遠くの国、世界に憧れを抱かなくなっている人々。
戯曲の「青い鳥」のように幸せ、満足感は足元にあると感じているのでしょう。
同じく、ほんの題名は忘れてしまったのですが、政府の唱える題目に注目して、明治を大、大正、昭和の前期を新、昭和後期を高という字に注目した方の分析があります。明治政府の大日本帝国、大日本帝国憲法・・・のように。
店名としては今昭和後期のように高度、上への気持ちが働いていると思います。
日本の割烹和食の方々はほとんどが自分の名前を付けているのですが、日本人のシェフ(外国人シェフの店は個人名がほとんど)の伊仏レストラン共に少なかったのです。
創世記の「シド」、「エヴァンタイユ」(シエフの扇谷の扇の意味)、「ひらまつ」、「クチーナヒラタ」等。しかし、昨今は独立に際し、自分の名をつける方が増えています。
最初は豪華建物を冠して、グレードアップ、「オテル・ドゥ・ミクニ」、「オーベルジュ・スズキ」「マノワール・ディノ」などでした。
でも、2000年以降自分というあしもとを見て、さらに上の創造性の高みへの意欲が見えます。
上の写真レスプリミタニ(エスプリは精神)、レ・クレアション・ド・ナリサワ(創造物の意味)、エディション・コウジ・イモムラ(図書の版の意味)、御魚大淵座(劇場?)、ヒロソフィー(既にレストランヒロであるが、こちら銀座店はこじんまりとした店名もフィロソフィア哲学をを暗に表現かな)、ビブリオテイク代官山など。
これ等の店名は料理が知的産物であることの主張のようにおもえるのですが・・・。
フレンチ3店の店名変遷
◆「クレアラション・ド・ナリサワ」 "成澤由浩氏の創造物"から「NARISAWA 青山一丁目 2011年」と改名し、イノベーティブサトヤマキュイジーヌとより自然の力を取り入れる、和の領域でのフレンチ。お店のホームページの締めくくりの言葉は「人が自然を超えられないように料理人も素材を超えられない」です
◆レストランナルカミも同じような経路で現在は「鳴神 南青山 2014年」も。
かつて銀座にあった「レストランナルカミ(NARUKAMI) 2003年開店」最初の「restaurant NARUKAMI 銀座 2003-2013年」はミシュラン一つ星を得るバリバリのフレンチレストランと、店名からもわかります。が、2013年に開店したビストロ「ベビーマンモス」を閉じ、今は店名は漢字の姓のみ、「鳴神」として、料理は和仏融合、フレンチジャポネーゼを謳う店に。。
同様の流れに身を置いた他のベテランシェフ達と似た流れで、席数10席、カウンター付の濃いコミュニケーション可能な店だそうです。
『料理王国』の記事でフランス料理らしさは必要なく、自分らしい料理をつくっていく想いを語っていました。 2014年にビストロを閉店して、自分の苗字を漢字のまま店名にした「鳴神 外苑前」をオープンした和食のような店構えのフレンチ店。銀座の頃の「restaurant NARUKAMI」を止めたのは料理の変化からでしょう。HP上では『和とフレンチの遊びからうまれるフレンチジャポネーゼ』として、フレンチなのに食べログの投稿写真の店頭風景を見ると割烹のようですね。
これが一番大きな字体で看板にあるので店名のような位置にあります。意味はピレネー山脈の修行先の小さな村の名、原点に還る精神ですね。 (2017.10.30)
真逆にあるのが超日常的な単語で店名を付ける方向。「ここ」とか「ちょっと」という言葉の店名。上のレストランが少ない人数の上客相手とすれば、こちらは日常使いの店であるとしています。
特にフランス料理は明らかにこの二分するの方向になっていると思います。
イタリアンは日常からハレの日使いに苦労しているようですが、仏料理のカジュアル化は大賑わいのようです。ビストロ、ワインバーが流行中。
西荻バル、銀座ワイン食堂、西麻布vin、Bisto YEBISU、深沢1136(数字は住所)、マルシェドジュウバンなど。
最後に世界、ワールド、仏伊語モンドですが、1960年代は広い世界へ向かっていく希望と勢いがこの言葉にはあったように感じます。
けれど、1990年代以降グローバル化(地球的規模の平準化)は世界を狭くしてしまいました。距離ではなく、気分的にですが。
インターネットの普及がさらに倍加され、世界の日常的なことが間近になります。
食べログを検索するとワールドの単語はカレーワールド、牛肉ワールド、川手ワールド(フロレージュのシェフ)のような使い方で、狭い世界の深みを賞賛するような単語になっています。
自由が丘のイタリアン、モンドは多分この方向の店名ですね。
もちろん新宿のイルモンドのように伊料理を超えてアジアの料理も取り込む勢い、広さを求めるのは0ではないのですが・・・。
四谷のエリーゼ(創業者が好きな曲名?)はずっと行列の人気の洋食店でしたが、2011年のつい最近「かつれつ四谷たけだ」に店名を変更。料理名+地名+名前の最強3点セットの店名です。
客からは「なぜ?」の声もありますが、店主は揚げ物にこだわりたかったとか。
もう一店は青葉台の仏料理ル・ジャポン、日本人のためのホットする料理を作りたかったからだそう。
写真のフランス料理店「スモールワンダーランド」はまさに11月に開店したこのテーマの店名です。一人一人のお客とゆっくりその世界をつくっていきたいとのこと。(お店のHPより)
歴史はあこがれ~時の向うへ
時間は距離よりも遠い果てにあります。二度と戻ることのない世界へのあこがれ。
江戸・明治・大正・昭和の歴史的言葉からの名づけ。地方などはNHKの大河ドラマの影響も多々ありますが。
雑誌の記事で載っていたのですが、最近の若い小説家は近未来小説よりも時代小説に目が向いているとかかれていました。
元号は一番、時代を表現するのに最適です。全国的に有名なのは今は改称している「元禄寿司」。回転寿司の元祖ですね。元禄の絵からその賑わいにあやかってのことだそう。
明治大正昭和もあります。流行もあり、今は昭和ブーム。上り坂の勢いのあった時代、昭和を舞台にした映画「オールウェイズ」もヒットしていますね。
それぞれの時代の言葉や物も時代を感じさせることができます。
明治大正は開化、鹿鳴館、浪漫、屯田、ハイカラ、モガ・モボ、ちゅぶ台、電化に伴い消えたものは竈、土間、ガス灯、ランプ
これ等が持つのはなつかしさ、ノスタルジーなき分。普段、洋風の生活をしながら、消えていく、日本人らしさを求めているアイデンティティ探し。
貧しくて、かっこ悪いものたちへの昔年の想い。自分自身がカッコつけずありのままでいられる。年配者には子供の時代へのなつかしさ、若者は新しさを感じます。
でも、商業的に成功しているのは江戸時代風の名前の店名です。
居酒屋とそのチェーン店が多数を占めているのですが、「鍛冶屋文蔵(2002年1号店新橋)」、夢屋銀兵衛、炭屋五兵衛、越後屋八十吉、山城屋庄蔵、越後屋惣右衛門、大黒屋吉衛門ほか多数。
越後屋権兵衛(2007年開店)のように店のある浜松町の名主権兵衛からつけたような、由来がわかる名前もありますが、ほとんどは老舗店が持つ古くからの信頼の歴史へのあこがれでしょう。
ただ、衛門や兵衛や○○吉を付けて、串衛門、モツ衛門、とり衛門、牛兵衛、いかや銀兵衛、モツ兵衛、酉吉、もつ吉等きりがなく、つくられているのはうーん・・・ですね。
流行のの項目に出てきた「開化」、名簿には1872年開店「開化楼」、それが1877年には「開花楼」、10年後くらいには「開華楼」同じ店ではないと思いますが、載っています。
現在は食べログでは「開花・・」が多く、歴史のあこがれは残しながら、初めへ勢いに寄る方へ移っています。 ★TOP頁へ★(遠くにあこがれて) ☆ものへのあこがれ ☆人と自然
ものへのあこがれ
当たり前ですが、高級品、ブランド品へのあこがれは品名を変えながらいつの時代にもあります。
時計、洋服、鞄、運動靴など名品と呼ばれるものたち。スイス製品、フランス製品、アメリカ製品、古く江戸時代は京都からの下りもの、南蛮渡来、高麗物、唐物たち。
昔、ブランドに対する考え方がゆるい時代はたくさんありました。ピアジェからシャネル、フェラーリ、ヴィトン、タバコの銘柄キャビンなど。
美しきもの
光輝いて、注目を受けるものたち、金、ダイヤモンド、プラチナ、こちらは地上では不変のものたち。でも日本の美はわび・さびからかわいいものたち。ともに自然の時の流れの中で滅びる直前の頂点の美しさを愛するものですが、それでも美しいものの魅力には抗えません。
服飾のシルク、更紗、ビロード、羅紗、お香の伽羅、蘭じゃタイ、ビードロ、ギャマンが店名に付けられています。
形容詞的には花と金銀、玉、織物の錦ですね。明治時代頃まではこれらは人の名前にも多かったので、鮨屋、天ぷらは名前からのもありました。
現在は自然の月と同様に単独よりは形容詞的に美称として使われます。
金は実際に使われ始めたのは肉系のお店が多く、シャブ金、金舌、金の鶏、金の串、金の卵、黄金の豚などチェーン店が多くを占め、最高の肉を提供する意味です。後は名前に金の字が多い韓国、中華の料理店。
日本語の金はどうしてもお金に通じてしまうので、店名としては品がないと感じますね。
英語のゴールドはあまりに直すぎて、さすがに少ないですが、ラテン系のオル、オロは頻度がたかいです。キリスト教の神の光を象徴しています。
銀座に今もある「コックドール 1965年開店」から恵比寿の「ブュイドール 1988年開店」「オコションドール」「ラノードール 四谷 2005年開店」「エノテカドォーロ」ピッツアドーロ」「オロオステリア 銀座 2008年開店」などなど。
玉はまさに美称で、中国からの文化の影響もありますが、珊瑚、琥珀、珠、瑪瑙、瑠璃が皆、玉偏であることも珍しく美しいもののイメージが特に強い。
擬態語ではキラリ、キラキラ。音の響が良いのか鉱物の雲母の呼び名「キララ」も使われます。漢字は煌くの煌がおおいです。
江戸時代からあるのは「宝」。単純に高価なもの、美しいものにプラスして宗教的な力、魔力が付いたものが感じられます。
三宝は仏教的なもの、五宝が金・銀・真珠・珊瑚・瑪瑙の一般的な宝物になり、この店名もあります。宝箱、宝舟もありますが、一番有名なのは真珠の御木本が経営する「レカン 銀座 1974年開店」宝石箱の意味のフレンチレストランです。
冒頭に揚げたものは遠くの世界から来る高価で珍しいものたちですが、こちらもインターネットの影響で遠くの世界のイメージ力はもうありません。
現在は[限定〕という言葉で値段よりも数の少なさが価値あるもの。それを誰よりも早く手に入れることがステイタス、自分の価値を高めることになっています。
かわいいもの
美術評論の本を読んだら、「かわいい」も「侘び・さび」に通じる滅び行くものへ美の感覚だそうです。
類語辞典等では美しいの類語には可愛い、魅力的、雅やか、素敵、凛、麗がはいっています。
かわいいもの。この頃、ペット同伴カフェが増え、ペットの名をつける例もあります。キューピーやこけし、テデイベア、パンダ、人形、いわゆる愛玩動物(金魚、小鳥)も多いです。
こけし、手毬も女性的で、小料理屋、家庭料理という看板を掲げる女主人向きのの店名です。世田谷の「居桂詩(こけし)」はこけしがたくさんデスプレイされています。
1967年のガイドブックにはフランス料理の「こけし屋 西荻窪 1953年開店」とお茶漬けの「古けし 日本橋」が載っていました。西荻のこけしのオーナーのインタビュー記事の中で『戦争に負けても日本の伝統文化は残る』想いがあったとのこと。フランス家庭料理を掲げた最初のレストランとも語っていました。
英語のリトルと同じ意味でかわいい、ちいさいの意味でリトルイタリー、リトル香港と同じ意味で、「プティパリ」「プティシャニー」「ブティトリアノン」など。この使い方は本国フランスでもあります。
また、場所名といっしょに「プティ・マルシェ」「プティ・シャンブル」「プティ・トケロ」など。
流行語でプチ贅沢、プチ整形などの使い方がされています。写真は「プチ 吉祥寺 1947年」最初阿佐ヶ谷で一坪の小さな喫茶店として開店、2009年に二度目の移転先が今の吉祥寺です。
ミニヨンとカリーナは単独で店名があります。
イタリアンの草分け時代の堀川春子シェフが選んだのは「カリーナ 新宿 1962年開店」という店名でした。今でも、イタリアンで愛用の"カワイイ"店名です。
イタリア語のピッコロも少ないですが、「ピッコロ・ボスコ」「ピッコロカンティーナ」「ピッコロカフェ」等。仏語のジョリーもかわいいの意味でシチューレストラン「ジョリー 蒲田」が1970年代のガイドにありましたが、今は英語のジョリーの楽しく、愉快な意味の方が優位でしょう。 ★TOP頁へ★(遠くにあこがれて) ☆ものへのあこがれ ☆人と自然
人と自然~失われていく世界
日本人は世界中のでも自然を愛でる国民だと思います。虫の声、花の咲き、散る姿までとらえ、俳句にも季語という世界があり歳時記と本も多い。
ながめて、
江戸時代は食すことと四季は表裏一体で楽しみを味わうことでした。
江戸の料理屋は季節感を料理に取り入れ地名が圧倒的に多い中、区別をつけるため、商売と名の組み合わせの店名、魚徳、魚久、植半など。
その次に季節を表現する店名、自然物を組み合わせる店名がが江戸末期に使われだしています。
蕎麦屋から若松屋、桔梗屋、松桂庵、明月堂、松月堂、雪窓庵。明治の和食、鶯春亭、紅葉館が有名ですね。洋食の青柳楼もありました。
カフェや喫茶店は昭和の初めは外国嗜好でしたが、その後本来の自然好みがでできて、あじさい、アカシア、プリメリア、ぽぷら、すずらん等々、大量に名づけられます。
ホテルのラウンジなどはオーロラ、レインボー、スターライトと天空関係が付けられました。皆、眺めて、観賞しての自然美を楽しむ店名でした。
写真は「青草窠(セイソウカ) 広尾 2008年開店」は青草の居、綠に囲まれた安らげるところ、料理も四季を大事にしているそう。
でも、80年代では少し違ってきています。
ひとつが、いまでいうエコ、守る自然と二つ目が囲う自然。失われていく自然の特に食に関わるもの、大地、水、空気、オーガニックの分野を表していることがほとんど。「大地の恵み」、「やさい村大地」。
食べ物屋ではありませんが「ナチュラルハウス」の前身は1978年にオープン、その後少しづつ、健康食として知名度を高め、今はオーガニックが主流。
この世界自然がで使われる場合、食の安全、恵み、地球環境への配慮(三木コーヒー ジオオーガニックカフェのコンセプト)、自然の賜物、四季折々の季節の芳醇な(ドン・チナューレHP)等の言葉は材料の格付けをアップさせるようです。
自然のもうひとつのチカラが癒し、くつろぎ、心も健康にすること。
「shizen(カフェ)千駄ヶ谷 2005年開店」、「鶯啼庵オウテイアン 八王子」(和、夏目漱石の草枕の青年が自然の中で癒されたように安らぎの場にHPより)が例。
囲う自然はダイニング中心で、擬似自然の世界を店内に作り出していました。
最初は今のアクアリウムレストランのハシリ「マンボウズ(青山)」。深海を表現したレストラン。
その後、砂漠楼、店の中に川が流れる「川のほとりで 表参道 2002年開店既に閉店」、滝が流れる「カスケード」、リゾート地のような「トラジャ」。
がすぐ限界が訪れ、葱や胡麻、豆腐の料理のワンテーマレストランや忍者屋敷や監獄、吉原、ヴァンパイヤなどのアミューズメントレストランへと移ります。
自然の世界の仕掛けをつくりだすには大手の企業系のレストランだけが、可能なものでしたから。。
いまでも「宙 そら」というダイニングがオーロラとアクアリウムの仕掛けで頑張っています。
次の注目は自然が時の中でいろづけした古民家、古いビルのリノベーション。。
店名にはあまり反映されていません。
食べログ(2011.12)には古民家で5件ほど載っています。本店名ではなく、肩先店名としてですが。
残るのは ⓢー(追 加2014.8.18)
都会に住んでいると、自然を感じるのはとても少ない、食べ物は四季がないですし、季節も感じにくいです。
狭くなった世界で残るのは空と風と月。風は風月や風雅の芸術の関連で風月堂、風龍(字替えで風流?)、土風炉等の店名。実際の風を意識した店名は比較的新しい。写真は「El Aire(エルアイレ ースペイン語で風) 浅草 2008年頃 」
風は捉えどころのないあいまいな点が避けられている理由でしょう。ただ、現在起業の華であるラーメンの世界では風は増えています。
もちろん単字ではなく、一風堂、風風ラーメン、風神、台風、しおの風、風雲児のように造語されます。人々を風の力で動かしたい意向があるのでしょう。
月は別の項で書きましたが、最初は湖月、悠月、春月など季節を表現していましたが、現在は月の・・・、ようなの使い方で形容詞ですね。
空そのものは高いところにある店には付けられますが、ホテルが多いようです。
汐留のso・ra・sioも高い場所にあり、汐留の空の意味とか。
ホテルの最上階を表す場所名、有楽町のビルの最上階スカイラウンジのような使い方、今もニューオオタニの「The sky」、横浜ですけどロイヤルパークホテルのダイニング「Le Ciel」」など。
アニメの「天空のラピタ」が世に出てからは天空も同様に高い場所のあることを強調するためつけられました。
店主がすきな劇画からでしたから、そのマッチョな生き方に感応された人が多かったのでしょう
東京ウォーカー2014年7/15日号でもあまりに増殖する「俺・・・」ついての記事が出ていました。奇妙な感じの店名もあるとか。「俺の流行」「俺カンパニー」「俺の魚を食ってみろ」「俺の株式会社」「俺の麺」「俺の番」「俺の牛」「俺の肉」「俺の炭火」、いかがかな?(2014.8.18)
類語で天の方がいろいろ付けられます。最近は子供の名前に選ばれることがあり、それが80年代からでしょうか、下に下りてきました。
名前で雑誌でよく見かけるのは鮨の銀座「青空」、こちらが店主のお名前で「はるたか」と読みます。
もちろん店名では最先端を走るカフェやダイニングが中心です。自由が丘の「SORA(素楽)」、広尾のカフェ「そら(既に閉店)。
最近のオープンでは「麺屋そら」「焼肉商店そら」「シェロイリオ」など。
ただ、時々、新宿のダイニング空のように「クウー」と読ませるのも混じっています。
2011年にオープンしたラーメン店「そらのいろ 麹町」は「色即是空・空即是色」の般若経典から。食べ物を食うにも掛けている場合もあります。
空にかかる虹はとても少ない店名です。英語のレインボーがホテルのラウンジにつけらのている例がありますが、その華やかさに比べ一瞬の光景と雨が上がる兆し、または映画オズの魔法使い(1939年)の「オーバーザレインボー」の歌の影響でしょうか。
古くは帝国ホテルのレインボーラウンジ、東京サニーサイドホテルのレインボー、今は食べログではレインボーキッチン(高円寺)など
ちなみに、イギリスの一番最初のコーヒーハウスは虹亭でした。
自然のご機嫌が天気。天気関連も増えています。晴れ、青空、ブルースカイ、「雨後晴(あめのちはれ)恵比寿 2011年開店」、ヒナタ、「harebare(晴れ晴れ、三軒茶屋) 2003年開店」など。
もっと難しい言葉もあり、回季、しち十二候、八十八夜等。
そして、変わらず使われるのが四季。江戸時代の料理茶屋「四季」から帝国ホテルの「レセゾン」、伊語の「スタジオーネ(飯田橋)、同種のキャトルセゾン、クワトロスタジオーニ、春夏秋冬、フォーシーズンなど。
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