最終章なのにもうパート3になってしまったが、どうも頭の中がタランティーノの様に整理出来ないでいる。そうこうしている間に気晴らしに「レザボア・ドッグス」を観ていたらやはり面白い。タランティーノが出演している初めシーンでのマドンナ「ライク・ア・ヴァージン」の曲解説(めちゃくちゃ偏っているが)のくだりはまるでハードボイルドの小説を読む様にさらりと流れていく。ここがタラの作品(脚本含めて)の良い部分である。で、先ほどのヴァニータ・グリーンとブラック・マンバ(ブライド)の決闘の合間のコーヒータイムで(笑)、ヴァニータが「復讐に来た訳よね。」と聞くと、ブライドは「いや、復讐だったら、私はあなたを殺した後に娘も夫も殺して初めて公平になるのよ」とか言う台詞で、公平という言葉EVENを使って変な言葉遊びをしている。実は予告篇にも出てくるのだがブライドの"Get even? Even, Steven."と言う台詞。このSteven(またはStephenかも)は明らかに、スティーブンと言う名前であるが、スティーブンと言えば、やっぱりスピルバーグかな?と思える全くへんなせりふ。特に意味はないから翻訳も出来ないが、英語圏の人はこの変な台詞に大笑いをしている。まあ、だじゃれみたいなものだろう…
で、話はエル・ドライバー登場の続きに戻る事にする。ビルがエル・ドライバーの暗殺計画を中止してから4年経ち、ブライドはまだ病院で昏睡状態であるのだが、生きながらえていた。そこに、好色家、看護師バック(Buck)が登場する。このバックが例の「プッシー・ワゴン」の持ち主なのだが、真の好き者である証拠に指に"fuck"と入れ墨を入れている(やれやれ)この指に文字の入れ墨と言えば、「ブルース・ブラザース」のジェイク&エリウッドだが、まさかこの映画のオマージュなのか?タラちゃん??ううん、そうかもしれない…
そのスケコマシのバックに昏睡状態時に何度となく犯され続けていた事実を確信したブライドはもちろんバックを始末し、戦利品である、「プッシー・ワゴン」の中でひたすらリハビリを続けるのである。「親指よ。起きなさい!」とまるでちちんぷいぷいとおまじないをするかのようにひたすら足の指に集中するブライド。カメラも何故か彼女の大きな足にズームアップする。この描写が妙に長かった。足もちょっと汚いし…(萎え)

キル・ビル Kill Bill vol.1
2003年作品 MIRAMAX シネマスコープ 113分
製作 ローレンス・ベンダー
監督 クエンティン・タランティーノ
出演 ユマ・サーマン ルーシー・リュー ダリル・ハンナ 千葉真一(ソニー千葉)  栗山千明 ヴィヴィカ・A・フォックス 國村隼  ect.

で、そんな足のリハビリの合間にオーレン石井の出生が語られるのだった。ここからスプラッタ満載のジャパニメーションの出番である。ジャパニメーションと呼ばれるだけあって、日本で製作されながら、輸出品のように日本らしくないセンスと図柄は、やはりタランティーノの持つイメージ(タランティーノは絵コンテが全く書けないらしい)を表現した結果なのか。やおらに線の多いアートワークのようなアニメーションですこぶる格好が良い。少しグロテスクなヤクザの親分(フランケンシュタインの怪物かと思った…)がオーレンの両親を惨殺するのだが、ここでは終始言葉は交わされない。まるで、劇画『ゴルゴ13』のような世界観である。実は、子供の見ている前で両親が殺されるという図式は日本のみならず、世界中で典型的な復讐劇の典型的な導入要素である。しかし、今回のオーレンのイメージは、1973年の『修羅雪姫』の梶芽衣子の設定をなぞらえているそうである(映画秘宝のイベントより)この元ネタの東映映画、かなり面白そうなのだが「キル・ビル」をきっかけにDVDにならないものだろうか?(と思いきや、この映画を2003年12月6日から上映する映画館があるという情報をゲットした!早速観に行ってみる事にする♪)
オーレンは、無惨にも殺された親のかたきをこの時に(11歳)誓うのだが、復讐の時はあっさりとその3年後に訪れる。なぜか?それは、カタキの親分がロリコンだったから(え?それでなの?)
親を殺した親分の残忍さを何十倍にも返した様な残虐非道な方法でドスを親分の腹に突き刺すオーレン。この時のオーレンの台詞がおぞましい「この目に憶えはないかい?」「このあごに憶えはないかい?」…ってその挑発は、怪談みたいなんですけど…もしかしたらこの台詞も笑って欲しいのかな?タラは… ちなみに、この歳のオーレンはとても流暢な日本語で話すのである(その後、何故かは分からないが、次第に日本語がおろそかになっていくオーレンなのであった…笑)ちなみに、この時、初めてアニメーションでセリフらしきものが登場する。
20歳になったオーレンは、赤いバイクスーツに身を固め(まるで『アキラ』のキャラクターのように)、世界の要人を暗殺する名うてのスナイパーを経て、25歳の時にビルの指図により仲間の一人をリンチするのだが、彼女はその時に不幸にもターゲットであるブライドを殺しそこねたために、一番始めに殺されるハメになるのだった。ブライドの独白によると、日本に戻ったオーレンは、ヤクザ社会のドンとなりその名声は遠くテキサスにいるブライドまで響き渡ってしまったのだった。まあ、これで居所も分かったと言う事でブライドはまず日本に向かうことになる。そして、熱心な呪文も通じたのか。足の親指もぴくぴくと動き始め、13時間後には、バックからの戦利品である「プッシー・ワゴン」を運転するまで回復してしまうのだった。まあ、これもあり得ない話だが、あくまで映画と言う事で…笑
さて、彼女がテキサスの飛行場で、日本行きの便(エアーオキナワ通称エアー・オーAir "O")で沖縄に向かう(
なんと、テキサス→沖縄の直行便なのである!)。沖縄に着くと、そこはまるで思いきりセット然とした怪しい店の、のれんが…ブライドも変なTシャツを着てすっかり日本気分を味わっている。その怪しい店こそ、沖縄で一番まずい寿司屋(雑誌などを読むと必ず「一番まずい」と書いてあるけれども誰がそう決めたのだろう??)で、その店主こそ、我等が第○代目の服部半蔵(は?)なのだった。しかし、この千葉真一の演じる服部半蔵(やはり、日本でも、千葉ちゃんと言えば、半蔵ですか?何度、この役を演じているのかもはや不明…)はかなりインチキくさいのである。沖縄で英語を話す白人を見て「イギリス人か?」って普通聞くかあ?沖縄だったら、やはりアメリカ人だろ?観客の受けを狙ってわざと間違えているのか?また、「おしい!アメリカ人よ♪」とはしゃぐブライドもちょっと変である。そもそも、ここからかなりいい加減なやりとりが続くのだ。(ここが、酷評をしている人のまじめな突っ込み所満載の境界線とも言える)今さらどうでも良い、日本語のレッスンが突然始まってしまうからだ。「コニチワ」とか「ドゥモ」とか「アリガトー」など、もうどうかしちゃっている。そして、極めつけが「おーい。あがりを持ってこい!」と部屋の奥にどなると「今、昼メロみてんの〜」と、今だったら、絶対に交わされなさそうな死語のような返事。「おしい。昼メロだよ。」とおどける千葉。そして、あの「刑事ギャバン」で名を売った大葉健二が出てくる。ボウズ頭だが、あの太い眉は健在だった。この二人の寒いやりとりはもはやフォローのしようがない。タランティーノが大葉健二の出演も希望したのは彼が「影の軍団」で千葉真一と共演している(やはり坊主頭)からだそうだ(映画秘宝のイベントより)「お茶運びを30年もやってたら軍隊だったらもう将軍だよ。」「それなら俺は天皇だっての」この寒くて危険な香りのするセリフを本当にタラが演出したものなのだろうか?
さて、このシーンでは、ブライドが服部半蔵を探している事を伝える事で突然シリアスな雰囲気になる。シリアスな証拠に遠く皿を落として割る音がする
「ガチャン」あっちゃー、ちょっと昔のギャグ漫画みたいなのだけど(やれやれ)千葉真一も真顔で、「服部半蔵にいったいどんな用事ですか?」しかしその後のブライドがひどい日本語で「ニホントウガヒツヨウデ…」「いったい日本刀を何に使うんですか?」「キリタイネジュミガイルノ」このやりとりを真剣に聞いていられるだろうか。まあ、タランティーノの意図はどこで笑われても良いと言う事だが…また、千葉真一の"You must have big rats..."も英語としてはまあまあな感じ。もしかすると、このシーンは世界共通で爆笑するシーンなのかもしれない…
結局今回は、ここまでしか書けずにPart IVに突入することになってしまう。もうこなったら
どこまでも行ったれ〜。すみませんがお暇な方は、この後もおつきあいを願います*という訳で、パート4へGoGo夕張!
 
 
 
 
1997-2003 kay and S.D.F. All rights reserved.