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猟奇的な彼女 The Sassy Girl 韓国 2001 122分 VISTA SIZE 評価☆☆☆☆

2003年8月18日執筆

 お盆休みも最後の日曜日。この週は何故か寒いわ雨降りが続くわで出掛ける気も起きず、どうせ近所のシネコンは混んでいるのが見え見えなので、自宅シアターでの久しぶりの新作上映をしたのだ。
早速、ツタヤから借りて来た新作は、韓国で大ヒットし、日本でも評判だった【猟奇的な彼女】である。

  ある人から、何故この映画の批評を書かないのか?と問われ、実は単に観ていなかったからなのだが、それには理由があった。まず、同時期に公開していた【ボイス】を観てがっかりした事。また、DVDにて【火山高】を観て顔面蒼白になった事。実は、これまでの韓国映画で、評判の高い作品でさえも、「???」と思った事が多かったので、韓国映画が苦手になっていたというのもある。

  更にこのチラシの謳い文句が、陳腐に思えて仕方がなかったのだ。少し見にくいが『スピルバーグを魅了した韓国歴代No.1ラブストーリー』って、ちょっと!80年頃の映画のコピーかよ!、と突っ込みを入れたくなる。

  チョン・ジヒョン演じる主人公は結構可愛いのだがチラシの写真はヒドイ写真映りではないか?少なくとも『キュート』というキャッチコピーとこの写真は一致しない!…などと、いちゃもんも多々有り、気が付いたらもう劇場公開も終了!いつも間にかDVD発売になっていた訳で、でも懇意にしている『チラシ天国…』のymaedaさんはいきなり★を満点付けているし…という事で早速観る事にした。

 さて、 観始めてから五分も経たない内に嫌気がさしてくる。「あー。この映画もやっぱりダメかもしれない。」さえない顔の主人公『キョヌ』のモノローグが延々続くのだ。あ〜あ、全部言葉で説明しちゃってるよ〜(汗) 大体において、モノローグで話を進めていく映画にろくなモノは無いのだ。

  そして、自分の興味が最大に薄れるシーンがいきなり登場する。主人公の『キョヌ』と彼女の初めての出会いの場で、
一番見たくない描写が唐突に出て来たのだ。この映画を観ていない人もいると思うので、この先の面白い要素になると思われる部分はあえて説明しないがここだけはちょっと書かせてもらう。なんせ、このシーンが冒頭にあるおかげで誰にでも勧められる映画では無くなってしまっているので…少なくとも、自分はこういう直接的な描写の映画が大嫌いである。ましてこんなにリアリティに溢れると…(泣)。

  では、問題のシーンであるが、電車の中で彼ヒロインである女は泥酔状態にある。手すりにかろうじて掴まってはいるがもう倒れそう。そして、最後にはお決まりの『ゲロ〜!』シーン。…ってこんなシーンが韓国ではお決まりなのかぁ?そんな表現は、日本映画でもアメリカ映画でもよほどのカルトな映画でないと入れないのだが…この映画は確かラブストーリーだったのでは?普通の恋愛映画で、ヒロインが嘔吐するシーンを入れるかなあ?!しかも、こんな可愛い女の子が『ゲロゲロ〜』である。

  このシーンは、作り方がコメディタッチなので、当然笑いを誘うシーンらしいのだが、いかんせん良識の感覚で観ていると、常識はずれな程、直接的でありしつこいシーンで嫌悪感さえ憶えるのだ。せめて間接的なイメージで誤魔化しても良かったのに、リアルな描写にこちらも嘔吐感を引き起こしそうになる。これが、韓国のお国柄なのだろうか?

 それから、唐突に『前半戦』とサブタイトルが出る。続いてまたまたモノローグが続く。その後に続くの二人のやりとりは、予告編でも強調されているように、彼女が一方的に男気が強く、相変わらずどうにも頼りない『キョヌ』をまさに猟奇的に扱うのである。『後半戦』に入ると彼女の実家も登場するが、父親の描写がまたわざとらしいコメディタッチで気になって仕方が無い。ここまでで約1時間半経過…もはや、この映画、自分には向かないや!と殆どテキトーに観ていたその時…。

 突然、ストーリー展開がシリアスに転じ、なぜ彼女がこれまで理解不能な行動をとってきたのか。また二人が今後どうなってゆくのか?の説明をを丁寧に、しかも観客の感情に訴えるように、描写されていくのだ。あたかも、『前半戦』『後半戦』と銘打ったサブタイトルのシーンがお膳立てのように記憶の奥へと消えてゆく。そして、最後にはとても素敵な言葉で締めくくられる。「人は、努力したあかつきに偶然を得る」と…。翻訳字幕でこんな風に書いてあるのだが、まさにこれぞと言う素敵なラブストーリーらしい終わり方である。クライマックスのシーンでは男女に関係なくもらい泣きをしてもおかしくないだろう。

  ほんの少し少女漫画チックなご都合主義の話だが、結果的に恋愛映画としてはなかなか見応えのある作品だと総合的な批評も星4つと高めに設定した。ただし、この作品を何度も観るかな?と自問すると、やはり冒頭の『ゲロ〜』シーンは観たくないのでちょっと考えるし、人にもすぐに薦めることは出来ないなと思うのだ。

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