映画好きがますます好きになるkayのオススメ映画関係書のコーナー*特に読みやすくて面白い本を集めてみました


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黒澤明の本
2002年に黒澤明の全ての映画のDVD化により、黒澤明の映画に初めて触れた人も多いと思われるので、数有る黒澤明の本の中でも飛切り面白い本を紹介する*

朝日ソノラマ社 都築政昭著 『黒澤 明と「天国と地獄」ドキュメント・憤怒のサスペンス』1700円

 黒澤明の作品の中でもぴか一に面白い作品としてつとに知られているのが『七人の侍』とこの『天国と地獄』である。自分も1988年頃に輸入版のビデオを所有してから現在のDVDに至るまで、そして度々の再上映も含めて何度この作品を観た事か(まさにするめ映画なのだ!)

 この本は2002年にDVDボックスを購入した後、偶然見つけた本なのだが、今までこれほど制作時の秘話を含めた詳細を解りやすく書いた本は読んだ事がなかった。特に面白い点として、特急『こだま』号内での撮影ノートが車両の図式と平行して解説している部分。伝説になっている、民家を壊して撮影したと言われている鉄橋のシーンの本当の話や、また、黒澤監督がこの映画で初めて試した4チャンネルステレオの効果と当時の試写の模様など、今までほんの少し、または全く語られていない部分に至るまで、この本で知る事ができる。特にDVDを購入した方は、付属のインタビューと併せて読まれる事をおすすめする。なお、とても読者を引き付ける文体であるので本屋等で発見した暁にはくれぐれも立ち読みで読み終わらないように注意すべし(笑)

都築政昭著 『黒澤 明と…』シリーズは他にも以下の作品についての著書があります*
『黒澤 明と「七人の侍」"映画の中の映画" 誕生ドキュメント 』1700円
天国と地獄の本が面白かったので都築氏の他の本を検索し、次に購入した本がこれ。氏の著書としてはこちらの方が先に出版されている。さて、この映画はへたをすると日本映画のベストテンの永遠の一位なのかも知れない。黒澤明の映画を観た事が無い人でも、『七人の侍』という映画の名前だけは知られているくらい有名だからもはや説明もいらないが、やはりこの著書は初心者にもやさしい解説本なので読者を引き付けながら今まであまり知られていない話に至るまで詳しく書かれている。何にしても、黒澤明の「アメリカの娯楽映画に負けない娯楽映画を日本で作る」と言う信念が実って出来上がった映画だから、面白いのは当たり前なのだが、その反面『いつまで経っても作品が出来上がらない…』などトラブルも耐えない毎日だったと言う。また、次第に近代化する日本の風景の中での時代劇撮影が当時ですでに大変だった話も非常に面白い。映画を成人になって初めて観た人もいるだろうし、DVDで初めての人もこの映画が気に入ったら次はこの本を読むべし!
『黒澤 明と「赤ひげ」ドキュメント・人間愛の集大成 』1700円
『赤ひげ』という映画はヒューマニズムを追求した映画であり、黒澤独自のヒューマニズムに対する映画では『生きる』に続く傑作のひとつである。舞台は江戸時代に実在した『小石川療養所』。そこで新米医師(しかも超エリート階級)が対面する数々の人間模様を丁寧に描写している。娯楽映画に徹した黒澤明とまた違った黒澤がこの映画から見えてくる。それは、現在のスピルバーグも同じである。『JAWS』や『E.T.』でエンターテイメントを極めた彼が行き着いた先は『シンドラーのリスト』『プライベート・ライアン』というヒューマニズムとは何か?人間愛または家族愛とは何かを問いかけた作品に繋がるのである。そしてそんな彼が尊敬してやまない監督こそ黒澤明なのである。この『赤ひげ』を最後に黒澤明は資金や映画産業の斜陽に苦しむ事になる。しかし、映画がどれだけ人に影響力を与えられるのか、小説では伝えられないビジュアル面の威力を黒澤は教えてくれた。この本はそんな黒澤映画のヒューマニズムに対する考察を映画制作時の話を中心に解りやすく解説してくれる。
『黒澤 明と「生きる」ドキュメント・心に響く人間の尊厳 』 1700円

2003年2月発行のシリーズ最新作。題材となったのは『赤ひげ』と並ぶ黒澤ヒューマニズム作品の傑作『生きる』である。2002年のDVD化で初めて観た人も多いがその大半が、傑作と高い評価を与えている事から時代が変わっても理解出来る部分の多い映画なのだと言う事がよく分かる。自分は中学時代に初めてテレビで放映されたビデオによりこの作品に触れたが、単刀直入なストーリーが返って新鮮に見えた覚えがある。この本では、黒澤が前回のドストエフスキー原作の『白雉』が興行的に失敗した出来事から始まり、脚本作りから公開までを膨大な資料を基に分かりやすくそして読者を惹き付ける文体で書かれている。

   
 
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